海老

モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタの海老のレビュー・感想・評価

2.0
※半分ネタなので知らずとも読めます
※鑑賞予定の方はご注意を

いわゆる「ソシャゲ」と呼ばれるソーシャルゲームが世間に広まって久しく。本来はSNSサービスの一環で提供されるブラウザアプリを指す狭義ながら、インストール型のネイティブアプリも含めて、スマホゲーム=ソシャゲという等式で認知され、数々のゲームがストアを賑わせております。
フリーミアム(基本無料を謳いつつ実質的にアイテム課金が準必須)の販売形態が「廃課金」を産んだ事案が取り沙汰される事も少なくありませんが、僕自身は、個人のモラルと自制心の問題だと考えており、アプリ自体に否定的な意見はありません。僕も幾つか導入しているし、楽しんだゲームには、後払い感覚というかサービス享受の対価として支払いをした経験もあります。

「パズドラ」や「にゃんこ大戦争」といった有名作品には手を出しているし、「クラッシュオブクラン」でも海老と名乗ってギルド長を経験しております。ゲームと呼ぶのも如何なものかと思う「アビスリウム」や「君の目的は僕を殺す事」といった放置ゲームで闇を深めた事も。肝心のモンスターストライクは未プレイながら、多少の予備知識は自然と情報が入ってくるものでありました。


さて、そんな若い媒体のゲームがモチーフになり、映画が製作されたと言うではないですか。
漫画になる事例は昔から数あれど、多くの予算を必要とする「映画」とあれば、話はそう簡単ではなかった事でしょう。
これもまた時代の妙味かなと思うと大変に感慨深く、面白みを感じてしまうものです。
かような節目、誕生に立ち会えて幸せだ。ハッピーバースデー!などとクサい台詞の1つや2つも吐きたくなるのが映画好きのサガとも言うべき局面でありましょう。

が、しかし、
しかしですよ。

肝心の映画がですね、
たいそう面白くなかったのです。

この湧き上がる違和感を何と表現しましょうか。
言葉を選ばず言うならば「ツギハギ感」。
『こういうシチュエーションを描きたい!』という制作陣の声は大いに聞こえるのです。
しかしそれは、インパクトのあるシーンを描きたい「思い付き」が先行しすぎて「唐突に」キャストが盛り上がりだす肌触り。故に一貫性のない起伏や展開に支離滅裂を感じてしまうのであります。

所謂、名シーンや衝撃シーンなどクライマックスたる絵面というのは、決して瞬間的なものでなく、大切に煮込んで存分に観客の想いを込めた、言わばチャージショット。その充填時間なしにアクセル全開をブチかまされてもモンスト、もとい、エンストをするわけであります。

例1:可憐な少女が身丈に合わぬ武器をふりまわし、周囲を血の海にする
⇒ このシーンだけどうした。レーティング「G」だ。よく見ろ。

例2:仲間が急に衝撃的な行動を取った上で「ワタシ、悪い子だよね・・」と不気味な表情を浮かべる
⇒ どちらかというと「間が悪い」子である。有り得ない行動をとる割りに理由が半端だ。そのままバックレるな。仕事しろ。

例3:「必ず守る!オレの大切な人ぉぉ!!」と咆哮と共に能力を覚醒する主人公
⇒ 出会ったばっかりだ。落ち着け。

例4:脈絡なく次々に登場しては消えていくゲームキャラたち
⇒ リセマラ中か?

あくまで一例であり、他にも「剣吞なヒロインが急にマジなテンションで歌い始める問題」や「命がけの割りに主人公探索作戦が無策にも程がある問題」など、あげつらえば枚挙にいとまがないのです。
予告にも使用されたカットである、空の彼方で夕陽をバックに手を取り合う二人の主人公、ソラとカナタ。確かに荘厳と言いたくもなりましょうが、ここに至る流れも随分に過不足を感じる事が頻りであるからして、「ラストカットは先に決まっていて後から話を付け足したのでは?」などの邪推がよぎるのです。


非常にモンスト、もとい、悶々とする想いで、混乱気味の娘と共に劇場を後に。



突として、上方より何か声が聞こえたような感覚を覚え、ほどなく淡い光に包まれた。我に返った頃、両の掌に光り輝く石を握りしめている事に気が付く。
声が言うには「詫び石」であると。理屈は全く分からんが、この石でガチャガチャをまわせるのだとか。

やにわに劇場のガチャを回し、2つのユニットを両手に得る。

【No.01】銀幕の情報屋 フィルマークス
HP:3000
スキル:キャストマッチング
テレビ欄のゲスト芸能人の名前で大方どの番宣かを当てられるが、使い道が無い。

【No.02】タイムラインの覇者 クイーン
HP:150000000
スキル:ロックオペラ
雄叫びをあげるフレディマーキュリーの立ち姿で画面を埋め尽くして未鑑賞の焦燥感を煽る。最近は広告まで浸出してきた。海老に対してめっぽうつよい。


あざけりおる。
どこまでも馬鹿にしおる。

床に叩きつける衝動を抑え込み、空を仰ぐ。2つのユニットを引っかけた輪ゴムを目一杯に引っ張り、空に向かって打ち上げた。
どこまでも飛んでいけ。空の彼方へ。
海老

海老