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劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~のhirokiのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2年生になった久美子たち北宇治高校吹奏楽部は、前年の全国大会銅賞の結果を受けて、今年の目標を全国大会金賞に設定して練習に励む。後輩の指導や恋など、新たな困難に立ち向かいながら過ごす久美子の2年生を描く。

アニメシリーズと変わって、映画の100分という短い尺で1年間を描き切っていたので、どうしても一つ一つの出来事に対する深掘りが不十分で、感動がアニメシリーズと比べると少なかった。ただ、それでも感情に訴えかけてくるシーンで共感できたり、コンクールの演奏シーンからのみんなの悔し涙には泣かされた。

指導係に任命された久美子は、癖のある後輩たちとぶつかり合うのだが、1年生の時の久美子から考えると、一つ一つの言動にすごく成長を感じた。例えば、ユーフォニアムの後輩のかえでが、「頑張るって何なんですか?」と久美子に問いをかけた時、「頑張ったって叶わないかもしれない!それがすごく怖いよ!でもその先にきっと見える何かがある」って感情的にかえでに訴えかけたところ。入部当初の久美子だったら絶対しなかったような心の中を曝け出すかのような叫びは、かえでの心に刺さったと思う。

結果が全ての世の中。それはそうだし、そうでなければ成り立たない世界だと思う。だけど、じゃあそれまでの過程には何の意味もないのかと言えば、そうじゃないと私は思う。辿り着きたいところまで行けなかったとしても、そこまで一生懸命に努力できた自分は存在するわけで、それこそが自分の自信になるはず。何を目的に頑張るかは人それぞれだと思うけど、どんな目的であっても、何か一つの目標に向かって努力することは無駄じゃない。逆に結果だけあっても、その人が幸せかと言えばそう単純なものでもないと思う。みれいのように、周りと仲良くなりたいのにどこか壁を作ってしまう自分を守るために、結果を出していることを壁を作る言い訳にしていたりする場合だってある。結果そのものだけに価値があるのではない。結果を追い求めて努力する過程に、一緒に頑張ってきたかけがえのない仲間ができたり、うまくいかなくても最後までやり切れる自分と出会えたり、そういったことが結果以上に大事なことなのではないかと私は思った。

頑張るとは何か。人生において大事なことを伝えてくれる、本当に素晴らしい作品。
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