よーだ育休中

メン・イン・ブラック:インターナショナルのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.0
幼少期に異星人タランシアンと接触した少女は、現場で目撃した『黒いスーツに身を包んだ男たちの組織』で働くことを熱望するようになる。自力でMIBの本部を見つけ出した彼女は熱意と実力で試験をパス。ロンドン支部へと配属される。


◆斬新な世界観から陳腐なSFアクションへ

地球に降り立った宇宙人たちを秘密裏に管理監督する組織《MIB》の活躍を描いた人気SFコメディシリーズのスピンオフ作品。過去の三作品を監督したBarry Sonnenfeldから新たにF. Gary Gray監督へと交代。スタイリッシュな世界観は今風なのかもしれませんが、前監督の描いた魑魅魍魎が蠢く噎せ返るような世界観が無くなってしまったのは残念でした。

登場するエイリアンがたちが基本的にはヒューマノイド、または(ステレオタイプな)タコ要素のトッピングというワンパターンになってしまっているのが凄く惜しい。もっとキモいグロテスクな要素をふんだんに散らして欲しいのです。


舞台もマンハッタン、ひいては合衆国からワールドワイドに広がりをみせました。うーんやっぱり何だかスタイリッシュ。タイトルの『International』は伊達じゃありませんが、元々このシリーズでは宇宙由来のあれやこれやを取り扱っていて、三作目では時間すら飛び越えたのですから。ここにきて三次元的な広がりを出してドヤ顔されても、という気がします。

世界観に設定を付加するのであれば、『世界各国津々浦々に宇宙人がやって来ているのです!』というよりも、『マンハッタンには彼らを引きつける何かがあるから人外魔境と化しているのです!』の方が好きだなぁ。


作品の雰囲気はガラリと変わってしまいましたが、旧作に登場したMIB本部のエージェントOを演じたEmma Thompsonが同キャラ役でキャスティングされていました。これが唯一、今作が過去作品と地続きであると認識できる部分でした。


◆シャープであることが正解ではない

世界観だけではなくコメディもスタイリッシュな感じになってしまっていました。Men In Blackについてジェンダー的見地から物言いをしたり、ロンドン支部のエージェントHを演じたChris Hemsworthが、彼の代表作品のキャラクターよろしくハンマーをぶん投げてみたり。こういう感じの笑いじゃ無かった気がするのです、元々のMIBは。冒頭の《解毒薬のためにタコとワンナイト》は面白かったですが。

C.Hemsworthは『ゴーストバスターズ』のリメイクでも『顔が良いだけで中身が無いおバカなキャラ』を演じていました。このカッコばっかりで薄〜いキャラクターはMIBシリーズには合わなかったと思います。『今作を体現したキャラクターを創造しました』なんていう自虐ネタでは無いんですよね?


Liam NeesonやRebecca Fergusonといった豪華キャストが登場した部分と、アクションがスタイリッシュになっていたのは嬉しかった所。カッコつけるのはアクションだけで良いのです。