エイデン

スマホを落としただけなのにのエイデンのレビュー・感想・評価

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サラリーマンの富田は、大事なプレゼンに向かうタクシーの中でスマホを使い恋人の麻美にメッセージを送っていた
今晩のデートで彼女にプロポーズをしようと考えていた富田が文面をあれこれ考えていると、いつしかタクシーは渋滞に巻き込まれてしまう
急いでタクシーを降り電車に乗ろうとした富田だったが、電車も止まってしまっていた
慌てて待ち合わせをしていた徳永課長に連絡を取ろうとするも、スマホをタクシーに置いてきてしまったことに気が付く
公衆電話も小銭が無く途中で途切れてしまい、慌ててクライアントの元に向けて走り出す
富田と連絡が付かなくなったことを心配した麻美は、彼のスマホに電話を掛けてみると見知らぬ男性が電話に出る
その男性はタクシーでスマホを拾い思わず持ってきてしまったということで、横浜のカフェに預けておくと言う
そこで麻美は富田の会社のアドレスにメールを送り、自分が落としたスマホをピックアップすると伝える
プレゼンを無事に終えた富田はそのメールを確認すると、かつて麻美のことを狙っていたという総務の小柳や、その部下 森下とも挨拶を交わし、デートへと繰り出す
その後 麻美からスマホを返してもらった富田は、勢いそのままにプラネタリウムでプロポーズを行うのだった
後日 麻美は同僚の加奈子にプロポーズをされたものの答えをはぐらかしたことを明かす
麻美は父の再婚相手である義理の母と疎遠なこともあり、なかなか家族に恋人を紹介することを躊躇っていたのだ
そんな折 麻美は、加奈子に好きなアーティストのライブチケットを手に入れてもらえないか富田に掛け合ってほしいと頼まれる
大学時代のつてでマスコミ関係に強い富田は、頼まれてすぐにチケットを麻美に手渡す
何でもつてを当たっていたところ、偶然にも昔の友人にSNSで接触され、それがきっかけとなりキャンセルされたチケットを購入できたらしい
また富田は、もうスマホを落とさないように追跡アプリを入れたと言い、麻美もそれを入れることにする
一方 刑事の毒島は、山中で遺棄された女性の遺体が発見された事件の捜査を行っていた
地面に埋められていたその女性は長い黒髪をしていたが、その一部は何故か切り取られていた
しかもそれだけでなく、立て続けに同じような被害者の遺体が山中から発見される
連続殺人と断定した警視庁は捜査本部を設置し、毒島は元プログラマーでサイバー犯罪に強い新人 加賀谷と組んで捜査を行うことに
その頃 富田のスマホを拾ったあの人物は、壁紙にしていた写真から見事な長い黒髪の麻美に目を付け、スマホの情報を元に彼女の監視を行っていた


志駕晃の同名小説を原作とした、スマホを落としたことをきっかけにエライ目に遭うサイコスリラー

ネットリテラシー的にまあまあやらかしてるので、おおよそスマホを落としただけとは言えないけど、悪意を持ってスマホ利用するヤツの怖さは十分わかってくる
もはや現代人には欠かせないツールとなったスマホを恐怖の対象として描きつつ、リアルにもその影響が表れてくるのはオカルトを取っ払った『リング』とかの手法に近い
それこそ監督も中田秀夫なので、その辺の描き方は上手かった

やってることは個人レベルの怖さに留まってるけど、犯人の偏執っぷりもブッ飛んでるのでそこそこ楽しめる
ただオチが斜め上などんでん返しになっていて、その点は笑うしかなかった
まあ原作が「このミステリーがすごい!」大賞で最終候補にも選ばれてるらしいので、この手のどんでん返しはあるものなんだと思うけど、作風的に浮いて見えてしまうかな

その辺除けば良質では無いものの今風なスリラーに収まってるので観ましょう
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