シリシャリ

オペレーション・フィナーレのシリシャリのレビュー・感想・評価

3.7
この作品のスコアが振るわないのは「勧善懲悪」的なスッキリ感が味わえないからではないだろうか。

アイヒマンの描かれ方が冷徹な知能犯のようであったり、どこか憎めない普通の情の持ち主のようであったりしたので、モヤモヤしてウィキペディアで調べてしまった😥

来歴によると、彼は学校の成績が悪くリンツのカイザー・フランツ・ヨーゼフ国立実科学校を卒業することができなかったし、その後も機械工学を学ぶため工業専門学校に通ったが、ここも卒業することなく中退していて、頭脳明晰でも強い意志を持ち合わせてもいなかったらしい。

獄中では部屋や便所をまめに掃除したりするなど神経質な面はあったが、至って普通の生活を送り、獄中の彼を知る人物は総じて「普通の、どこにもいるような人物」と評したとのこと。

裁判中も「小役人的な凡人」という印象で「ふてぶてしい大悪人」であると予想していた視聴者を戸惑わせたそうだ。

しでかした恐ろしい犯罪を思うと意外だが、それは世界中が感じたらしく、その為「アイヒマンはじめ多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちは、そもそも特殊な人物であったのか。それとも妻との結婚記念日に花束を贈るような平凡な愛情を持つ普通の市民であっても、一定の条件下では、誰でもあのような残虐行為を犯すものなのか」という疑問が提起された。

裁判の翌年には、上記の疑問を検証する実験(「アイヒマン実験」とも言う)が行われ、その結果は「普通の平凡な市民でも、一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行う(ミルグラム効果)」ことを証明するものであった。

裁判を通じてアイヒマンはドイツ政府によるユダヤ人迫害について「大変遺憾に思う」と述べたものの、自身の行為については「命令に従っただけ」だと主張し、最期の言葉は「…全ての人の運命がそうであるように、我々はいずれまた会うでしょう。私は神を信じながら死にます」であったという。

虐殺されたユダヤ人もいずれは復活するのだから殺しても良いと考えていたのか?