シェイクスピアのヘンリアドを下敷きにしながらも、ヘンリアドとも史実とも異なる展開が多いのでちょっとむつかしい。全く初めて百年戦争ものを見る人か、逆にめちゃくちゃ詳しい人に向いているかも。
フォルスタッフがカッコ良すぎたり、ハルが平凡で平穏な暮らしへの思いを捨て切れなかったりと、従来とは違うヘンリー5世。放蕩息子とセットになるはずの父との和解も欠けており、苦悩が更に深まって、王の栄光より重責や孤独を描写しています。あとパティンソンがいいパティンソンしてる。
とはいえどうしても沙翁には勝てない感じが。俳優陣の演技も素晴らしいのですが、沙翁相手にはなかなか。フォルスタッフを出すなら「ホロウ・クラウン」みたいに沙翁の戯曲に基本的には沿ったままで、演出や演技で新しい解釈を表現した方が分かりやすそう。