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麻薬王のkuuのレビュー・感想・評価

麻薬王(2017年製作の映画)
3.6
『麻薬王』
原題 마약왕/The Drug King.
製作年 2018年。上映時間 138分。
1970年代の韓国・釜山を舞台に、日本への麻薬密輸で財を築いた男の成功と転落を、実在の事件をモデルに描いたクライムドラマ。
ソン・ガンホが主演を務め、ペ・ドゥナ、チョ・ジョンソクが共演。
『インサイダーズ 内部者たち』のウ・ミンホが監督・脚本を手がけた。

釜山の金細工職人イ・ドゥサムは、貴金属密輸の仕事を手伝う中で、魅力的な麻薬ビジネスの存在を嗅ぎつける。
それは、釜山で高純度の麻薬を製造して日本へ輸出するというものだった。
ドゥサムは日本への密輸ルートを牛耳るチェや麻薬製造のスペシャリストであるペク教授らと手を組み、ビジネスを大成功へと導くが。。。

今作品は、時間をかけて盛り上げては終わりますが、序盤の勢いは後半多少下がり気味に感じましたが飽きたりすることなく観終えました。
韓国作品の俄ファンながら今作品で思うのは、韓国映画のスタイルや感触にあまり慣れていない西洋人ウォッチャーはチョイ抵抗を覚える方もいるのかなぁとは思います。
70年代の韓国ちゅう設定も、他の映画ではあまり掘り下げられていないようで、見ていてわくわくはしました。
実際のイ・ドゥサムをどの程度表現しているかは全く分かりませんが(写真で見る限り雰囲気はかなり掴めてるかな)、主要な演技はすべてぴったりやったし、よく演じていると感じました。
撮影も良くて、その役目を果たしてたし、また、テンポも典型的なターニングポイントを悪くないタイミングで突いていました。
今作品で最も韓国的やと思うのはトーン。
シリアスなテーマを扱った映画であり、厳しいシーンや感情もふんだんに盛り込まれていますが、ヘンテコな登場人物におかしな行動を取らせることを恐れていない。
これをどうも音痴的だとか締まらないのは否めないけど、個人的は韓国作品限定でアリなんかなぁと思てます。
韓国作品に触れた当初は文化の違いによる新鮮さの洗礼を受け、俄ファンの今に至りますが、その雰囲気に馴染めたいと評価は変わるだろうとは思います。
今作品は1972年から1980年にかけて、イ・ドゥサムの最初の密輸から始まります。
麻薬のボスを描いた映画としては、麻薬の操作に焦点を当てる時間は驚くほど少ないけど、その代わり、大半はイ・ドゥサムが法から逃れ、豊かなライフスタイルに耽溺していく姿を描いています。
韓国の『ブレイキング・バッド』的な設定やけどイ・ドゥサムが麻薬密輸業界に与えた影響よりも、イ・ドゥサムの人生についてゆっくりと解説することに終始しています。
イ・ドゥサムはソン・ソッキョン(キム・ソジン)と結婚するも、この夫婦は生活費を稼ぐのに苦労する。
しかし、ある日、暴力団と衝突し、自分が所属していた密輸組織が崩壊したため、イ・ドゥサムは逮捕される。
獄中で彼は、日本人があるドラッグを欲しがると聞き、日本でドラッグ組織を立ち上げることを決意。 
妻を代理人として、出所までの一連の流れを作る。
出所後、イ・ドゥサムは入院している精神病患者の身分を盗む。 
これで彼は自由の身となり、麻薬王としての第一歩を踏み出す。。。
70年代の共産主義の恐怖の中で、韓国にとってかなり暗い肖像画を提供していました。
『麻薬王』はこの時代の殺伐とした雰囲気を利用して、登場人物に侮辱と脅迫を浴びせ、しばしば『麻薬王』と呼ばれるか『共産主義者』と呼ばれるかの選択を迫っている。 
作中、日本のヤクザ組織が実名で出てたんは吃驚した。
4本指のギャグで笑った後に、マブのヤクザもんの恐怖を体感する場面は怖面白い。
ウ・ミンホ監督のヤサグレ描写をふんだんにいれて欲しかったのは個人的な願いでした。
今作品の描き方としては、グロいちゅうよりも、もう少し下衆な表現で序盤の、いきなり!ステーキじゃない、いきなり!放尿飲みする主人公には目をそらした。
逆さ釣りにされた主人公が尿漏れして顔に流れるシーンなど、きっと、監督は聖水プレイ(尿攻め)が大好きな変態さんなんやろなぁと感じました。
まぁ、目をそらしたくなるのが意図なら悪くないけど聖水は勘弁してほしかったです。
個人的には悪くない作品でした。

今作品で繰り返し出てくる覚醒剤=ヒロポン。
嗚呼、オソロしや、おろしや国酔夢譚(意味不明)で徒然に。

ヒロポンとは、アドレナリン誘導体で,無色結晶または白色結晶性粉末,無臭。
脳組織の活動を亢進させる作用、交感神経興奮作用があり、服用により精神活動が活発になりら気分の快調に活動力の一時的亢進などを呈する。
乱用すると,耐性および習慣性・依存性を生じ,幻覚や妄想が起きることも多く,覚醒剤取締法により厳しく規制されてます。
隠語にはシャブ、冷たいもの、S、スピード、ヤーバー、クリスタル等々と呼ばれてる覚醒剤。
医師の指導で使われる疾病治療薬、商品名ヒロポンとして、住友ファーマで製造されているそうです。
ナルコレプシー、各種の昏睡、嗜眠、もうろう状態、インシュリンショック、うつ病・うつ状態、統合失調症の遅鈍症、手術中・手術後の虚脱状態からの回復促進及び麻酔からの覚醒促進に処方されるそうな。
ガキの頃、小生の少し上の世代では、喘息を和らげる薬(エフェドリン)の錠剤を数錠バリバリと噛み潰しジュースなどで飲み干したり、お子様用の咳止めシロップ(ブロン液)を一気飲みしたりして、通称ラリる行為が流行ってた。
軽いのは失神ゲームからはじまり、カセットコンロのガス吸引にせよ、トルエン吸引、はたまたラッシュ(今は違法ドラッグだけど、以前は普通にコアな雑貨屋売ってた)にせよ誰がそんな行為を発見するのかある意味脅威だし、その脳を他に(実用新案など)使えば社会に貢献でけんのに。
小生は興味心は強いものの、薬物でスーパーサイヤ人を目指すことはなく、身体を鍛えて成れると信じてたアホガキでしたし、興味津々ながらしてませんが、喘息薬などには、覚醒剤の原料であるエフェドリンや麻薬の成分であるリン酸ジヒドロコデイン、興奮作用をもつカフェインなどが含まれていたので、覚醒剤と同じ効果があり、ラりルれロと嵌まった人が多かったのかと。
現在はその辺は改良されてるだろうし、胃が荒れる程度でラリることはないとは思いますが、当時、先輩が咳止めシロップを一気に飲んで瞳孔開いた眼でスゴまれた日には縮みあがったものでした。
その遊びに嵌まった先輩方の現在、半数はマジの薬に手を出して瞳孔開いてラりルれロと聞きます。
今なら、そんな薬をしてる先輩はただのゾンビとしか見えないので、もし会ったとしても、縮みあがる前にネコだまし(相撲の戦法の一種で、立合いと同時に相手力士の目の前に両手を突き出して掌を合わせてたたき相手の目をつぶらせる)してからダッシュで逃げます🏃💨👏🧟‍♂️。
この覚醒剤(ヒロポン)は、ものの本によると日本では、今作品でも登場する1970年代ヤバイ人たちだけではなく、市民にも広まったとあり、特に痩せ薬だとかを謳って女子の方々にも蔓延したそうな。
そのヤバイ薬の幾ばくかは今作品で描かれてるイ・ドゥサムのヒロポンが含まれてたんだろうなぁ。
今作品の年代から少し経て、オウム真理教においても覚醒剤を製造したとして、教祖の麻原彰晃など関連する人物が起訴されたそうで、創薬の知識もある人も信者にいたのかとオウム真理教オソロしや。
オウムシャブは見たこともないですが聞いたところではクリスタルが黄色っぽかったとか。
当時は金塊(ゴールドインゴット)よりお金が動いたんだろうなぁ。
金(ゴールド)の相場と覚醒剤(ヒロポン)の末端価格の推移は多少似てるが、小生は薬物取引より金の取引の方が、どうせミイラ取りがミイラになる、魅せられるのなら金塊の方が望ましいと思います。
豊田商事のように魅せられると怖いですが笑。
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