泡沫

麻薬王の泡沫のレビュー・感想・評価

麻薬王(2017年製作の映画)
3.5
どこか憎めない、調子のいい貴金属の密輸業者だったドゥサムがのし上がっていく前半は痛快ですらあり、軽いコメディのような雰囲気。その分、時代の移り変わりと足並みを揃えるように栄光と正気を失っていく姿が重い。暖炉の前で妻に電話するシーンはゾッとしてしまった。ヤクの売り込み先はあくまで日本だったはずなのに、後半敵視しているのはかつて兄弟と言っていたはずの北朝鮮になっていて、また始末の付け方に関しても韓国という国の歴史が自省的に彼に投影されているのかなと思った。この冷静さはとてもまぶしくみえる。しかしなんといってもソン・ガンホに圧倒される映画。
泡沫

泡沫