LalaーMukuーMerry

愛がなんだのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.4
うーむ、これはなんだ? 地味なテイストの問題作。
          *
主人公のいわゆる都合のいい女(テルちゃん=岸井ゆきの)と、彼女を都合よく扱うクズ男(マモちゃん=成田凌)の関係を丁寧に描いたお話。二人の回りの友人たちも絡んで来て、そのおしゃべりを通して男女の恋愛というものを様々な角度から見つめ直すっていうか、そんなお話。
          *
でも残念ながら、共感できるところはほぼなし。こんな恋愛(と呼んでいいのかも怪しい)するんじゃないよと娘にはいいたい(言う機会はないだろうけど)。
          *
男女二人の人間関係の間には安定ポイントと呼べるものがあって、乱暴な言い方をすれば、くっつくか離れるかしかない。テルちゃんとマモちゃんの関係はそのどっちでもない不安定状態で、何らかの擾乱(妊娠するとか、別の相手ができるとか)が入れば、いずれどっちかの安定ポイントに動くしかないでしょう(恋愛を物理モデルのように扱って申し訳ない)。この不安定状態を丁寧に描くことに意味がないとは言わないが、この状態をいつまでも維持しようとすることは無駄な気がする。
          *
でも、ひょっとしたらテルちゃんのマモちゃんへの想いは、愛とか恋とかを超越した何かなのかもしれない。言葉で言うとピタッと来ないが「執着」とか「こだわり」とも言えるし、(恋愛感情ではない)純粋な意味での「好き」ということなのかもしれない。そういう気持ちがあるから「生きている」と思えるし、喜びにつながるし、自分を肯定できる根源なのかもしれない。
          *
これがタイトル「愛がなんだ」になったのかも(愛なんていずれさめるものだしね)・・・
          *
・・・深い? 
          *
ここまでいろいろと考えさせられる作品はめったにないから、そこに敬意を表してこのスコア。