YokoGoto

愛がなんだのYokoGotoのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
3.6
<誰にでも心当たりのある、20代のバカバカしい恋愛>
今泉力哉監督作品の魅力は、どこにでもあるような生々しさを描き、多くの人の心に『痛たたた…」と感じさせるすっぴん感である。特別なシナリオではないのに、切り取り方や小気味良い編集で、派手さはないものの一つの恋愛をめぐるエンタメにしあがっているからファンが多いのも頷ける。

そんな私も、今泉力哉監督作品は、結構すきだ。

見る前には、「きっと外さないだろうなぁ」という安心感のもと鑑賞できるし、実際見終わった後は、それなりの満足感でいっぱいになる。本作「愛がなんだ」も映画ファンの中では話題になっていたので、すこぶる期待して鑑賞。

相変わらず、派手さはないものの、多くの人が身近に感じられるテーマを面白いドラマに仕上げてくれていた。

特に『愛がなんだ』というタイトルは意味深である。本編を見終わっても、このタイトルの明確な答えをくれるストーリーにはなっていない。ある意味、見終わった人がそれぞれに、異なる『愛がなんだ』の意味を思い巡らす立て付けになっていると思った。

登場人物は30歳が目前にせまった20代後半の男女。
20代前半ほど無邪気じゃないし、なにがなんでもと結婚を焦っている訳でもない。

そんな微妙な年代の主人公の心を赤裸々に綴ることで、揺れ動く恋模様をドラマにしたものだ。
正直、恋愛の設定はよくある話だと思う。誰にでも一つや二つは心当たりのある恋愛模様。

決して、特別感はない。だから逆に、イライラする。(笑)

「なんでそうなるの」「なんでそう考えちゃうわけ?」と主人公の彼女の行動や気持ちにイライラしてしまうのだが、でも実際、自分が同じ立場になったら、結構、代わり映えしない行動とるんじゃない?心当たりない?と言われてしまうようで、さらにイライラが倍増する。(笑)

正直、恋の渦中にいる本人には、気づかないのだ。
しかし、客観的にみると、実に愚かに感じる。
要するに、バカバカしいのである。

20代後半の恋は、実に微妙に揺れ動く。
客観的に見ればバカバカしくても、その瞬間の恋は必死で、誰もがその恋を手放したくないと日々をもがく。

それでも、そんなバカバカしい恋を、一つでも多く体験すべきだと私は思う。切なくても悲しくても、必ず、その後に訪れる恋の役立つと思うから。

ちなみに、主役のお二人はとてもいい感じでした。(完全に恋に流されてしまう主人公にはイライラしますが、思いの外、ジタバタしてない感じは、どこか好感もてました。)
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