花椒

みとりしの花椒のネタバレレビュー・内容・結末

みとりし(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

作品としては細かい部分に疑問がつくも、多くの時間、涙が溢れたし、すすり泣きは館内のあちこちから聞こえてきました。看取り士という仕事があることはわかりました。

映画本編が始まる前に注意書きが入ります。これが入ることに拠って実際に看取り士が出来ることは何なんだろう?と疑問を持ちながら映画を見続けることに。現実はヘルパーや看護師、ケアマネなど介護の現場で資格を持って働く人が看取り士にならないと、結局は何もできない人になってしまうのでは?

舞台が岡山なのは原案の方が岡山を拠点に活動されている、と推測がつく。主人公の看取り士がサラリーマンとして都内で働いていたのを辞めて看取り士になろうという経緯もわかります。

ただ彼がなぜ岡山に赴任、しかも過疎が進む地方都市に、という経緯が触れられていない。
新人の若い看取り士も地元の人ではなく、どこかから赴任してきたがなぜここに?という疑問は同様。
医師が地方に来たのは過疎で医師の担い手がいなく、そして私が医師という職業がどんなものなのかが理解できている。
しかし看取り士という職業がそもそもわからないが為に、また処処患者(と言うよりも看取られる者、がこの作品では呼ぶべきか)に触れるシーンが出てくるけど、それはヘルパーや看護師の資格がないとできないよね?いや、生き続ける為ではなく、良い最期を迎える措置だから介護とは違うから許されるものなのか?最期を迎えるまでは生きてるわけだからそれは介護の資格を持っている人じゃないとやっちゃいけないよね?この疑問は映画内では解決できません。
「実際はどうなんだろう?」と疑問をもちながら観ていました。

架空の職業なら細かい説明は不要だけど、おそらくこの映画には啓蒙活動の要素も多分に含まれているだろうから看取り士が看取り士としてできる仕事とそうでないものをきちんと描いてほしかったな。

患者の一人も愛媛で蜜柑作っていた人がなぜ岡山に?
そうした細かい背景で設定の粗さは結構目立ちます。

つみきみほはわかったけど、金山一彦と河合美智子はどこ?多分あの役、というのは思い浮かぶが。

今回は具体的なスコアつけるのは憚られます。物語そのものは★4(他の人にも勧めたい評価)ですが、冒頭の但し書きがマイナス、というより但し書きがない実情に見合う作品を作ってほしかったな😯

誰もがいつかは最期が訪れる。看取る看取られる時がくるその為の今やこれからの生き方や死生観を見つめ直す機会を与えてくれる作品なのは間違いないです

約40年ぶりに有楽町スバル座で観賞。週末からはアンコール上映がはじまり、ロードショーとしては最後の上映作品です。
花椒

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