消費者

日曜日の憂鬱の消費者のレビュー・感想・評価

日曜日の憂鬱(2018年製作の映画)
3.8
・ジャンル
ドラマ/悲劇

・あらすじ
実業家の夫、ベルナベと共にホテルを営み豪勢な暮らしをする老女、アナベル
ある日、彼女の元に8歳の時に捨てた娘のキアラが現れる
30年以上の時を経た突然の再会に困惑し、アナベルが望みを問うと10日間一緒に過ごすよう求められる
狙いが分からない中、ベルナベもまた不審に感じるがそれをもって親子関係を放棄する事を条件にアナベルは応じる事に
そうしてアナベルはキアラの家に連れて行かれ2人で過ごし始める
しかしキアラは自分を捨てた過去への罪悪感を試すかの様に振る舞うばかりで真意の知れないまま時間だけが過ぎていく
先の読めない行動で翻弄し続けるキアラだったが共に過ごす内にアナベルは徐々に愛情を抱き始めるのだが…
果たしてキアラの真の望みとは?

・感想
富豪に嫁いで野望に溺れる老女と幼くして捨てられた娘という関係性から来る気まずい空気感がしばらく続く暗い世界観は淡々と進むからこそ魅力的に感じられた
強気で振る舞ってきたキアラが最後に望みを告白した所から弱さを見せ始めアナベルを母として求める所までの心情の変化も過剰な表現をせず繊細に演じられていて良かったと思う

それでもキアラの虚言や奇行の意味が良く分からずじまいだったり最後まで隠してきた望みが捻りの無い物だったりといった事のせいで話としては小さくまとまってしまった感があり惜しい
ラストの入水自殺を母に幇助してもらう事でちゃんと親子として死にたかったという心情を示唆するかの様な描写が物悲しくも美しい良いシーンだっただけにそこが残念だった
消費者

消費者