かじドゥンドゥン

日曜日の憂鬱のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

日曜日の憂鬱(2018年製作の映画)
3.5
裕福な老女のもとに突然押しかけてきた中年女性。それは、老女の娘だった。娘は、理由も告げず、ただ10日間一緒に過ごして欲しいと願い出る。金目当てなのかと警戒し、弁護士まで立ち会わせて協議した結果、老母は、8歳のときに夫とともに捨てた娘と、山村の家で過ごすことにする。

自分からつかの間の共同生活を求めて来たわりに、始終冷笑的で、皮肉が絶えない娘。母は苛立ち、「何が望みなのか」をたびたび問うも、娘はいっこうに答えない。しかし、奔放で退廃した生活を送っているこのニヒルな娘も、ついに耐え切れず、自分が母に捨てられてからずっと窓際で母を待ち続けて来た悲しみ、そして自分が病に冒されて余命僅かであることを、涙ながらに明かす。

若気の至りで、多くを求め過ぎ、家族を捨てた過去―後悔と懺悔、そして娘への深い同情に苛まれた老母は、娘が耳元でささやいた最後の願いを聞き入れる。裸になった老母は、いまや虫の息の娘を抱き上げると、湖に歩み入、わずかな抵抗を力ずくで抑えて娘を水に沈め、看取る。無責任に命を与えた者が、責任を取ってその命を奪う。