Maoryu002

ベイルートのMaoryu002のレビュー・感想・評価

ベイルート(2018年製作の映画)
3.8
1982年、ベイルートで米国諜報員が誘拐され、かつてその地で家族を失った元外交官のメイソン(ジョン・ハム)が交渉役に指名される。誘拐した武装集団はメイソンの家族を殺したテロリストの解放を求め、メイソンは諜報員サンディ(ロザムンド・パイク)とともに交渉にあたるが、犯人は彼と因縁のある人物だった。

「マシニスト」「ザ・コール 緊急通報指令室」のブラッド・アンダーソン監督によるサスペンスなんだけど、どちらかというと「ジェイソン・ボーン」シリーズや「消されたヘッドライン」の脚本家トニー・ギルロイの色が濃い、スピーディでメリハリのある作品だった。

装甲車がビーチを走り、その脇でビキニの女性と黒づくめのイスラムの女性が歩いているという、レバノンを象徴するような映像に興味津々。

ストーリーは米国大使館、CIA、イスラエル、PLO、誘拐犯、そしてメイソンの思惑が入り乱れて、非常に分かりにくいけど、駆引きを含めて十分に面白かった。
傷物の脱落者のはずが、悠々と交渉を重ねていくメイソンの姿が頼もしいし、人質交換の緊迫感もなかなかで、かなり好みの作品だった。

リドリー・スコット監督の「ワールド・オブ・ライズ」に設定は近いけど、1982年の限られたテクノロジーでの諜報や交渉が泥臭くていい。

最後に漁夫の利を得たのはイスラエルみたいだけど、一番無害そうに見えたあのオッサンはモサドだったってことか!?

どちらかというと強面肉体派のジョン・ハムだけど、落ちぶれたインテリが意外なほど似合ってた。
ロザムンド・パイクの役はちょっとリアリティなく、添え物感があったかな。
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