とちこ

バーン・アウトのとちこのレビュー・感想・評価

バーン・アウト(2017年製作の映画)
3.6
プロのバイクレーサーを目指している主人公トニーが、元恋人が作った借金を返すためにヤクザ組織の麻薬の運び屋するという話です。目的地まで時間内に運ばなければいけないため、高速道路を最高速度で走るのですが転ばないでくれと思いながら見ていました。車じゃなくてバイクという体が剥き出しの乗り物だからこそ、そう感じられるのかもしれません。あとは、ヘルメット越しに写される主人公の視点からのショットなども迫力がすごいです。
私が以前見た「パーフェクトマン」と共通しているなと思う所が多々あるように感じました。ひとつ挙げるとしたら、「主人公が心理的葛藤を抱えながら、自分の意図しなかった人生をおくる」という点かと思います。理想の自分と現実の自分が分裂しているような状況ですね。今作だと、主人公がプロのバイクレーサーを目指しているんだけど運び屋をやらざるをえないのがこれに当たると思います。そして、そのような状況を象徴的に表すために、「三面鏡」(『パーフェクトマン』でも出てくる)の前に立つトーニーのショットとが撮られているんではないかと思います。
あとは、フランスの人種や移民系の問題も含んでる感じがします。アラブ系の人に対して非情に接する人物とか。スラム街的な街の雰囲気とか。フランスは華やかなイメージを持たれがちだけど、それは本当に一面だなと思わされますね。
とちこ

とちこ