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闇動画3のshxtpieのレビュー・感想・評価

闇動画3(2012年製作の映画)
3.0
ドラレコ映像のホラーは絶対あるだろうと思っていたら、あった。『夜の峠道』。話しとしてはありがちだし、 CG も安っぽいけれど、女の幽霊の動きが機械みたいでめちゃくちゃこわい。

『赤い影』は、イヤホンをしていたから、ノイズにめちゃくちゃびっくりした。『グラビア撮影』は、まずグラビアアイドルがいまいちかわいくなくて、それがリアル。ロザリオのせいで腹部から顔がただれる画はなかなかショッキング。というか、部屋から走って逃げだしたグラビアアイドルが一瞬でその部屋に戻っているというテレポーテーションが、児玉和土っぽくていい。『地底の怪』では、あきらかにもう一体の霊が映っているのだけれど、まったく説明されないのが薄気味悪い。

メインは『箱呪』だろう。だんだんと苛立ったディレクターがパワハラを始めるのがおそろしいけれど、この「恐怖におびえる状況で精神的な負荷がかかって暴力的になる」というのが、いかにも児玉らしい。児玉の映像作品では、短いながらも、恐怖の効果によって人間関係が壊されたり、隠していた人間性や暴力性が露呈したり、あるいはそれまでにはなかった暴力性が発露されたりする。

『箱呪』は、仕掛けが何重にもなっているのもおもしろい。まず、立ち入り禁止のロープをまたいでいき、廃墟のドアを開け、さらに最上階の一室はドアが二重に封印されている。しかも、その先に赤い糸などによる封印があり、戸棚があり、箱があり、それを開けることによって霊障が降りかかる。扉や蓋を開ける行為、封印を解く行為が繰り返されるのだ。また、その前段階として、まわりくどいことに、こっくりさんをおこなう、というのもある。この迂回路、また、オチの、飛び降りた AD がディレクターにぶつかるという物理的な痛さもこわい。

『箱呪』でいいのは、霊障に襲われたディレクターのからだが覆いかぶさったのか、映像が真っ暗に、音声が奇妙にミュートされる空白の数秒があること。あれがひたすらにこわかった。
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