真っ黒こげ太郎

デス・レース4 アナーキーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.7
”シリーズ史上、最も"過激"な(エログロ的な意味で)レースが始まる!!!”

”スピード、クラッシュ、爆破… リアルガチなカーアクション!!”


(ドンパチ系カーアクション映画なんだからクラッシュや爆破があるのは)
当たり前だああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

あたりまえ~♪ あたりまえ~♪ あたりまえ体操♪



不景気すぎて犯罪者が大増加し、完全に世紀末化した近未来のアメリカ。
政府はウェイランド社と協定し、広大な工業地帯跡地を巨大な壁で囲い、凶悪犯を隔離した。

封鎖区域では無法者達がリーダーの座を賭けて違法なバイオレンス・レース「デス・レース」が行われていた。
デス・レースの勝者にして、無法者達のリーダー、フランクこと「フランケンシュタイン」が町を牛耳っていた!!!
無法者を集め実力を示すフランクを外の世界の権力者達は恐れていた。

そんな工業地帯にまたしても新たなる囚人が送り込まれた。
その囚人の一人、コナー・ギブソンが勇敢にもフランクにデス・レースで勝負を仕掛けてきた。
コナーはデス・レースの参加権を得る為に、壮絶な殺し合いに参加する…。



無法者達の死のカーレースを描いた、バイオレンス・カーアクション、第四弾にして、シリーズのとしては一番最新の作品。
近所のお店から撤去されていたので宅配レンタル待ちになるかと思いましたが、普段いかない遠い所にあるTSUTAYAに運よく置いてあったのでレンタル。

今回は過去作から一転して荒廃した近未来が舞台になり、舞台設定も主人公も監督も大幅に変更された。
今作はシリーズの中で群を抜いて評判が悪かったので不安になりながら鑑賞。



今までは「自由を勝ち取ろうとする刑務所内の囚人達のバトルロワイヤル」だった本シリーズだが、今回は舞台が近未来という事で「無法地帯となった隔離地帯を舞台にリーダーの座を賭けたバトルロワイヤル」にシフトチェンジ。

舞台が「マッドマックス」と「ニューヨーク1997」(又は「エスケープ・フロム・L.A.」)を混ぜた、例えるなら「ドゥームズデイ」みたいなヒャッハーな連中が屯する世紀末世界になった。
主人公も外から来た挑戦者になり、シリーズの顔であるフランケンシュタインは町のヒャッハー軍団を牛耳る悪党のリーダーになってました。

ぶっちゃけここまで来るとシリーズ物としてはもう完全に別モノ!!!
そこいらに沢山ある「マッドマックス」便乗作の一つとして扱っても違和感がない。
過去作に出ていたセクシーなハゲマッチョも居ないし、「デス・レース」の根本原理もそっくりそのまま変わってしもうた。
(因みに過去作にあった足場を踏むマリオカート的ギミックも無くなってしまった…。)

肝心のデス・レースもラスト30分前になるまで始まらないし、そこまでのドラマがgdgd展開であんまり面白くない。
一応「謎に包まれた主人公の目的は?」という謎はあるものの、ぶっちゃけ大した謎じゃない。
そもそも111分と一作目に並ぶ長尺の中で80分以上の前フリは流石に長すぎる。
グロ描写や殴り合い等の見せ場こそあるものの、正直前半部分はシリーズの中で一番イマイチだったかも。


後、これはあちこちで言われている事ですが、日本語吹き替えがスッゲェ!!!下手くそ!!!
主人公にヒロインも、脇役のチンピラやビッチ姉ちゃんどころかフランケンシュタインの吹き替えまでメチャクチャ下手くそ!!!
これ声優学校の学生に吹き替えさせただろ!!!

流石に一部でちゃんとした声優が声を当ててはいるが、その下手くそさはJVD配給作品やインターフィルム配給作品といい勝負。
これが無名配給の低予算映画ならまだ分かる、だがこちとらVシネマとは言え「デス・レース」シリーズの正当なナンバリングだぞ!?
しかも配給はユニバーサル。どうしてこうなった。


そんなこんなで、物語の根本が変わってしまい別物になり、ドラマもダレ気味、吹き替えも素人レベルに落ち込んだ。
色々と要因はあるが、ここら辺が低評価の原因ではないかと。


とは言え、ヒャッハー!な連中が群れまくる世紀末世界はエログロが満載でいい意味で潤いが無く、銃撃、爆破、殴り合い、ドンパチ、カーチェイス等、アクション映画としての見せ場はキチンと押さえてある。

今回は世紀末な世界観らしく、今まで以上にエロとグロが激し目で、その筋の描写が一番過激!!!
男女問わず皆すっぽんぽんに脱ぎまくり、殺しの場面では首チョンパするわ、頭を潰すわ、血が飛ぶわで、実に景気が良い。w

肝心のレース場面がクライマックスにしかないことを除けば、銃撃戦にマッチョ同士の殴り合い、火薬の大爆発に激しいカークラッシュ等、アクション物として見せるべき物はしっかり見せてくれる。
ラストのデス・レースもマジモンの改造車をビュンビュン走らせ、火薬の爆破や大クラッシュが大頻発数するお祭り騒ぎっぷりで盛り上がります。
正直な所、最初から最後までこのノリでやって欲しかったが、目当てとなるドンパチ成分は補給できたかな。
(ただ、ラストの決着の付け方は賛否ありそうだけど…。)




全体的にコレジャナイ感が増え、ドラマの停滞や吹き替えのショボさで「う~ん」となる所は多いのが残念だった。
それでもヒャッハーが盛り沢山なクレイジーな世界はやっぱ見てて楽しいし、Vシネマなりにモノホンのカークラッシュやドンパチをしっかり補給してくれる。

評判は悪いですし、シリーズの中では一番点は低いですが俺はそれなりに楽しめました。


という事でポール・W・S・アンダーソン監督版「デス・レース」シリーズはこれでコンプリート。

ロジャー・コーマン監督が手掛けた過去作とは殆ど別物だし、オリジナル2作目以降はVシネマで低予算なのが見えてくるし、ドラマ方面のダレっぷりも増してしまったが、基本的にはモノホンの鉄とオイルと火薬をバシバシと感じられる愉快なシリーズでした。


以下、シリーズの個人的評価。
デス・レース(1作目) 4.5(一位)
デス・レース2(2作目) 4.3(二位)
デス・レース3 インフェルノ(3作目) 4.0(三位)
デス・レース4 アナーキー(4作目) 3.7(最下位)

1作目は流石ステイサムさん&メジャー監督だけあって一番オモロイ
2作目はVシネマになっちゃったけど、火薬もクラッシュも満載でB級ドンパチカーアクションとしての水準は保ってる。
3作目からやや話のアレっぷりが増えてしまった感ががが、でもドンパチやクラッシュはしっかりしてるし、ラストの爽やかなオチは好み。
そして4作目はほぼ別物、話グダグダ、吹き替え最低で評価が墜ちまくってしまったが、それでも火薬のドンパチ成分は補給出来ました。


まぁ、話はナンバリングが進むごとにアレになるけど、基本的にドンパチアクションや鉄臭いカーアクションをご所望なら追いかけてもいいと思います。
やっぱアクション映画には銃撃、爆破、カーチェイス、肉弾戦が欠かせないのがよく分かったぜ…。
お腹いっぱい、ご馳走様でした。