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ランボー ラスト・ブラッドのbackpackerのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

自らの尊厳を守る為に戦った男。
囚われた仲間や友人を救う為に戦った男。
侵略者に虐殺される人々の為に戦った男。
道を見失い、世を捨てた男。
空っぽなまま、遂に故郷へと帰った男。
これは、そんな男の、最も辛く苦しい、最後の物語……。


『ランボー最後の戦場』のラストにて、ランボーは故郷アリゾナに帰り、彼の物語は幕を閉じた……と思ったら!
前作から10年が経ち、ランボーの物語はまだ続く!
情報が出始めた当時は、「いつものように、ロン毛のマッチョがゲリラ戦するのかな……」なんて思っていました。
ところがどっこい!何と今回の舞台はメキシコ!相手は女を売り物にする腐れギャング共!
久しぶりにランボーの乗馬シーンが見れるのも嬉しい!


本作のランボー、冒頭から、ボランティアで人命救助活動に参加しており、それが当たり前のことと周囲にもある程度認識されています。
かつてのランボーからは想像もできない姿に、月日の流れを感じると同時に、彼がアリゾナで上手くやっていた(地域のシェリフに感謝されるなんて!)とわかり、我が事のように嬉しく思います……泣ける。

また、精神疾患に苦しむランボーの姿が、非常に直接的に描かれることも好印象でした。
『怒りのアフガン』の時なんて、殆ど無きも同然の設定になっていましたからね。

これまでのランボーが、冒頭に記載したような経験を積み重ねた男だったわけですが、今回は遂に家族を助けようと戦います。


……こんなに、こんなに辛いランボー作品はありませんよ。
これまでも、目を背けたくなるほどの苦難を経験してきたランボー。
彼が漸く手に入れた家族が、メキシコの忌々しいクソ共によって殺されるなんて……。
畜生……、畜生……。

死に魅入られた男に課せられた宿命のやるせなさ。
ランボーの人生を見守ってきた観客諸共、奈落の底に突き落とすこの展開。
泣ける……泣ける…………。


牧場の自宅(及び張り巡らせた地下トンネル)に大量に仕掛けたブービートラップを用いた容赦ない殺しは、衰えたランボーだからこそといえる殺しの方法です。
メキシコで散々に痛めつけられた姿も相まり、彼の実在性がより高まり、ランボーという人間の深みがさらに増しましたね。

終わり方の切なさといい、ストーリー全体の物悲しさといい、シリーズに終止符を打つという点で、とても素晴らしい作品でした。
惜しむらくは、コロナ禍の影響で、劇場で鑑賞できなかったこと、それにつきます。

ランボーの人生を描き切ってくれたスライに、再度の熱い感謝を。
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