kkkのk太郎

ランボー ラスト・ブラッドのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

戦争アクション映画『ランボー』シリーズの第5作。

故郷アリゾナへ帰ったランボーは、穏やかな日常を送りながらも精神的な外傷に悩まされ続けていた。そんな折、娘同然の存在であるガブリエラがメキシコで行方不明になってしまう。ランボーはガブリエラを探すためメキシコへと赴く…。

○キャスト
ジョン・ランボー…シルベスター・スタローン(兼脚本/原案)。

第40回 ゴールデンラズベリー賞において、最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞を受賞🌀

『最後の戦場』から11年。再びランボーが我々の前に帰ってきた。
前作の公開直後から、メキシコで多発している婦女誘拐をテーマに続編を制作したいと語っていたスタローン。10年以上もの苦慮腐心の末、とうとう構想していた通りの映画を完成させた!漢の一念岩をも通す。えらい👏

戦争アクションから一変、クライムアクション映画として生まれ変わった『ランボー』シリーズ。
このジャンル変更に面食らったファンも少なくなかったかもしれないが、よく考えてみれば戦争と犯罪なんて言葉が違うだけでその本質は一緒。「暴力」のあるところにランボーあり。世界最悪クラスの「暴力」が横行しているメキシコにランボーが赴くのは必然だったように思います。

『最後の戦場』でついに故郷へと帰る決心をしたランボー。長きに渡る戦いに終止符が打たれた…と思っていたのに!
あれだけの悲しみを乗り越えた漢への仕打ちがこれって、スタローンあんたは鬼か😭!?

前作で戦場のリアルを真っ向から描き切ったスタローン。今回は犯罪のリアルを粉飾することなく我々観客の前に提示してみせた。
前作同様、平和ボケした人間が半端な覚悟でラインを越えることの危険性を示し、その上で今回はさらなる地獄絵図が展開される。
犯罪組織に捕えられた女性がどうなってしまうのか、そしてその先に待ち受けている最悪かつ当然な結末を、余すところなくスクリーンに映し出す。
もはやこれはアクション映画ではないし、ましてやヒーロー映画では断じてない。純度100%の暴力映画である。それをこういうフランチャイズ映画でやっちゃうんだもん。恐ろしい漢だよシルベスター・スタローンは…。

冒頭、ボランティアとして人命救助を行うランボーに対して保安官が「ありがとう」という。
『1』での仕打ちを知っているからこそ、このセリフにめっちゃ感動してしまった。あのランボーが…。
そしてその後に続く、家族との穏やかな日々。もうこの前半部分で泣いちゃうよ😢あのランボーが幸せに暮らしとる…。

シリーズを追いかけている人間なら誰しもがグッときたはずのこの前半。ここがあるからこそ、物語が地獄へと突き進んでいく様に深く入り込んでいってしまう。
「ランボー!!早くきてくれー!!」と思わず叫び出しそうになる展開からの、ランボー怒りのメキシコ入国。
良かったこれで一安心…と思いきや、ブランクからかチンピラにボコられてしまうランボー。そしてそれが事態をさらに悪化させてしまう。
ランボーも70歳。そりゃ昔のように戦えるわけはないし、しかも家族を持った安心感から平和ボケしてしまっている。このリンチシーンは観ていて辛かった…。

自らの不甲斐なさにより娘を死なせてしまったランボー。そして史上最悪の怒りが爆発する💥
ランボーの恐ろしいところは、最愛の娘が死んだにも拘らず全く狼狽えないところ。涙を流し彼女を埋葬してしまった後は、まるで農作業でもするかのように淡々と殺人トラップを作り続ける。
そもそも、帰国してからずっと地下トンネルを作り続け、部屋一杯に武器を飾っているというのは、異常と言うほかない。
精神安定剤を常用していながら、いざ救出ミッションが始まるとその薬を投げ捨てるという描写からもわかるように、彼にとっては戦場こそが在るべき場所なのだ。
ブチ切れてはいるのだが、怒鳴ったり喚いたりせずに、ただ粛々と殺るべきことを殺る。この異常性こそがランボーの真髄、ひいては暴力の真髄ということなんだろう。
復讐は復讐を呼ぶ。だからこそ、最後の1人まで徹底的にぶち殺す。今回の『ランボー』はヒロイズムを完全に消し去り、ニヒリズムのみが充満している状態である。しかしそれこそが戦争/犯罪のリアル。シリーズ最終作にしてついにランボーの持つ狂気の最奥を見た、そんな一作だった。

あまりにも暗く凄惨な映画なので、なかなか見返す気にはなれないが、『ランボー』のクライマックスとしてはこうするしかなかったのかもしれない。
戦争を引き起こす火を人間に与えたプロメーテウスは、その罪によって永遠の責苦を負った。
その強さ故、死ぬことすら許されないランボー。彼もまた、その罪を背負いながら永遠に戦い続けるしかないのだろう。

ゴールデン・ラズベリー賞を受賞しているが、これは間違いなく名作。ラジー賞の選考者は全員目玉腐ってんじゃねぇの💢
これが最終作ということだが、世界から争いは消えていない。次回作は『ランボー 怒りのキーウ』でどうでしょうスタローンさん!!

※芸能人吹き替えって本当に嫌いなんだけど、本作の武田真治&ケンコバはマジで上手い!
観終わるまでこの2人だってことに気が付かなかった。
他のクソ吹き替え映画はこの作品を見習って欲しい。
kkkのk太郎

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