ギズモX

ランボー ラスト・ブラッドのギズモXのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

【ランボー怒りの黙示録】

前半部分を観ている時、これは本当にあのランボーなのか不思議でしょうがなかった。
なんせホームドラマをしてくるわ、囲まれてリンチされるわでランボーやシーンそのものに覇気が全く無かったから。
2や4で観客の度肝を抜く常識外れのアクションをしてきたあのランボーは何処に行ったんだ?

しかし中盤、あることによって一気に変わる。
救ったはずの娘の死によって。
ここからランボーは兵士としての顔が再び戻り、目的がこんなことをした連中を報復することだけになっていく。

故郷に帰り家族を見つけ蓋をした筈の隠しきれない孤独や終わっていない戦争が体現された『トンネル』が、彼女の死によって再び開いて武装していき、

"敵を殺す"

ただそれだけの本来の姿にへと変わっていく。
そして全てを奪った憎いあん畜生共らに『Five To One』が不気味に流れる己の悪夢へと誘い、
ベトナム戦争の怨念を憑依させた地獄の道を歩かせるのだ!

敵組織の若者共はチャランポランの大馬鹿野郎だ。
ドラッグとセックスにまみれ、歯向かう者には暴力と恐怖で支配しようとし、世界を支配した気でいる。
ランボーが他人に協力してほしいと頼む時にいつも「殺される、怖い」と返されるのがその証拠だろう。
だけど、本当の恐怖や暴力を体現する者がいることを"ランボー"を見ている僕達は知っている。
そいつを完全に怒らしたんだから彼らは無残に殺されていくしかない。

かくして、
かつてあのベトナム戦争でバーンズ軍曹やハートマン軍曹、そしてカーツ大佐がその一片に触れた
全てを焼き尽くさんとするあの【地獄の黙示録】が、
この現世に、ランボーを通して蘇ったのである!

ランボーが後半になっていくにつれ孤独感や狂気を宿す様は売春宿にカチコミするところもあって『タクシードライバー』を思わずにはいられなかった。
彼はトラヴィスと同じようにもう元には戻れないだろう。
戦場だけが彼の生きるホームなのだから。

【Drop the bomb exterminate them all】
ギズモX

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