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永遠に僕のもののSNGのネタバレレビュー・内容・結末

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

映画としては耽美的なロードムービーで、大きな起伏があるわけではないんだけど悪くなかった。
ただ、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチというアルゼンチン史上最悪といわれる連続殺人犯をテーマにしてるということで、まだ彼が存命なこともあり、つまり被害者の遺族たちも存命……?と考えると、こんな美しい物語にしていいもんかどうかという個人的な倫理観が邪魔をして物語に没入はできなかった。
この話は主人公であるカルリートスと犯罪一家に生まれ育った同級のラモン、二人の愛を主軸として描いている。
いつかラモン一家も銃殺されるだろうとハラハラしながら見てたんだけど、最後までカルリートスはラモンに対しては親愛の情を貫き通し、ラモンが死んだ対向車との事故は心中未遂ともみてとれる。
カルリートスは警察に捕まり、脱獄をするんだけど、向かった先はもぬけの殻となったラモンの家。そこで彼はレコードをかけ、一人踊る。ラモンの家の周囲には武装した警官が取り囲み彼を捕まえるための突入を待つというラスト。
カルリートス役のロレンス・フェロの妖艶な美しさと、ラモン役のチノ・ダリンの男性的な魅力がもの凄く耽美で芸術的。
抑圧された同性愛的な感情を持て余し、本当に欲しいものは手に入れられずに、犯罪を重ねていくカルリートス、圧倒的な美しさがある。
とはいえ、実在する殺人犯のカルロスは理由なんてないまま殺人や性犯罪や強盗を重ねていったんだろうなぁと思うと、うーんってなってしまう。
実際のところ、相棒が死んだ自動車事故だって、不和の末に事故に見せかけた殺害って言われてるし、強姦はするし、強姦した上殺すし、赤ちゃんだって容赦なく撃つ。
そういう、実際にカルロスが犯した犯罪よりも、殺人シーンなどはずっと軽めに描かれてるので、グロテスクなものはあまりなく、グロ苦手だからそこはよかったんだけど、それでいいのか!?とも思ってしまうので、私はこの映画を見るのに向いてないんだなと思った。
カルリートスとロレンスが宝飾店に強盗に入って、真珠の耳飾りをつけたカルリートスにロレンスが「マリリン・モンローみたい」といって始まる一連のシーンが好きだった。
被害者の方のご冥福を祈りたい。仏教ではないだろうけれども。
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