シネマスナイパーF

ライリー・ノース 復讐の女神のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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ナメてた相手が実は殺人マシンでしたモノ
じゃねーなこれ
多分ギンティ小林さんは良い人だから分かってて宣伝のためにそう言ってるだけ
女ガンマン皆殺しのメロディとか、ナタリー・ポートマンのジェーンとか、夫と子供を殺された普通の女性が復讐する系の西部劇の現代版
確かにこの設定でナメてた〜も展開上可能ではありますが、少なくともこの映画では殆どやっておらず、覚えている限りだと中盤のアル中オヤジ相手ぐらいで、しかも殺しじゃなくて脅しだしなんならオヤジに勝手に喧嘩ふっかけただけだし
96時間の監督最新作!という宣伝文句はとても良いと思いますが、見当違いな宣伝をその道の第一人者にやらせているのは非常に心が痛い

という嘆きはさておき、なかなか楽しめました


惜しい
殺人マシンに成長するまでが多分一番面白そうなんだけどそこを全然見せてくれないのには素直にガッカリ
まあそこに時間を割いてたらこのサクッと楽しめる感じが損なわれるので仕方ないといえば仕方ないが、クライマックスのステゴロ殴り合いチャンスで世界修行紀行中のボクシング経験を活かすような展開にしようとはしているのになんか中途半端な感じで不完全燃焼になっているのは流石に勿体なさすぎじゃないか
この半端さがそのまんま全体の残念なところです
悲しいシーンが短めだったのは好印象ですが旦那が今まで一体どういうものに加担していたのかをちゃんと説明しないので、これまた中途半端なせいで正直イマイチ肩を持ちにくいのも事実
スラムではヒーロー扱いされているという展開もアツいんだけど、終盤までスラムの人間との直接の会話がないので言葉とか形だけで示されるだけってのも勿体ないな

なんだかんだ言ってもめちゃくちゃ楽しいですよ
娘の言葉通りアイツに鉄拳を食らわすシーンは全体の中では地味ですが気持ちがいい
感心したのは、主人公の怒りの矛先が悪モン以外にも向いていて、警察や司法も敵に回すことを厭わないので三つ巴になっていること、しかもやり口の派手さも相まって一般人も知るような存在であるということ
裁判長の手は多分あのハンマーで釘打ちしたんだろうなと考えると気持ちよくて仕方がないでしょ
あれだけ大暴れして盗難とか繰り返しているのに市井の人々は支持しているところとかザ・ヴィジランテだし、また面白いのはスマホで汚職現場配信とかするところ
ラストも観た直後はえ〜なんでよって思ったけど、お前はもう今後も鬼として生きていくしかないんやというメッセージだと思うと感慨深くもあるかなと

ピエール・モレル監督はワンカットの演出がいいのかな?
96時間は静的な電話のシーンが印象的でしたが、今作ではマンホールから出てきてそのまま車を強奪するところのカメラワークが結構カッコよかった
記憶を辿るところの演出とかはダサいですけど笑


勤め先だった銀行が金奪われてたりしててとばっちりもいいとこなの本当笑いますが、見境のなさが全てを敵に回している感じがして怒りに満ちていてこれまた気持ちがいい
修行紀行を心の底から見てみたいと思わされた時点で抜群に楽しんだ証拠
オススメです