はるな

CLIMAX クライマックスのはるなのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
5.0
きっしょ!二度と見るか!とか言いつつ2回目3回目と見てしまった。見るたびに新鮮な気持ちで気分が悪くなれる画期的な映画。独特の長回しとか気持ち悪いダンスとか、あとはなんか・・・フランスの?ディスコ風?らしき妙にサイケでテンション高めの劇伴。最低!最高!
外は豪雪、閉ざされた空間の中で次から次へと“一秒たりともここに居たくねー”的な事態の応酬が続く。長回しのせいで「あん時ああしとけば」みたいな僅かな期待(希望)も起こらない。何か起こった、あぁ次はこんなことが!時間の不可逆性みたいなのが極まってもう最低。最高!残酷この上なし。救いがないとはまさにこの事。ひたすら最悪な事態が今、今、今と連続する感じ。「阿鼻叫喚」な状況って今まで遭遇したことが無いから実際どういう感じ?どういう意味?と思ってたけど、なるほどこういうことか~と今年一番納得した。

脚本はもはや無いに等しい、何せ全編クライマックス。俳優は2人だけで残りは演技経験無しのダンサーをカメラの前で自由に演じさせたとか。ほぼ即興で台本にはセリフが一切無いらしい。この辺はネットでも読めるギャスパー・ノエと塚本晋也の対談が面白かった。ギャスパー・ノエは映画の美しさと残酷さ、リアリティについて鈴木清順を引き合いに出していた、今年二番目に納得した。

聞く人によると今作はギャスパー・ノエのフィルモグラフィでは一番見易く門外漢にもオススメ!らしい、正気か!とはいえ2回3回と見てしまう中毒性があるのは間違い無いわけで、かくして人類にとっての最も手軽かつ合法的なLSDサイケドラッグ疑似体験がこの映画によってもたらされてしまったわけです。
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