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キューブリックに魅せられた男のchaooonのレビュー・感想・評価

3.6
2001レビュー⭐️は『2001年宇宙の旅』一択でしょう!と思っていたけど、ゴゼジューのリバイバル上映で既にレビュー済みだったので、代わりにキューブリックのドキュメンタリーを🎥

正確には、キューブリックの最も近くで助手の仕事を長年してきたレオン・ヴィターリのドキュメンタリー🎥
監督に憧れ、信奉し、付き従い、共に映画制作の現場で闘った、想像を絶する天才映画監督との30年の記録🎞✨

レオンの体験談を通して語られるキューブリックの映画制作の現場は興味深かった!
映画の出演者も当時を振り返るけど、なかなか凄い話ばかり。
とにかく完璧主義が凄い!
微細すぎる色味のこだわり!
「細かすぎて求めるレベルが高すぎる!」と撮影が終わる頃にはうんざり。
セリフを間違えると役者交代!1人や2人ではない。

『2001年宇宙の旅』🛸『時計じかけのオレンジ』🍊で衝撃を受けたレオンは、『バリー・リンドン』のオーディションを勝ち取り、ブリンドン子爵役で出演。
極度な完璧主義で有名な監督との仕事は1回でいいという人が多い中、離れ難さを覚えた希少なレオン。
有望視されてた俳優をきっぱり捨てて、裏方としてキューブリックと仕事をすることを望む!

撮影中は監督にべったり、常にメモを取り、現場のことを完璧に理解するまでに。
役者の管理や演技の練習相手、手が空いたときは常に監督の側で、会議にも一緒に出席。
ニコルソンでさえしていなかった連れションも!?
『フルメタルジャケット』ではキャスティングを任され、オーディションを取り仕切る。
メイン俳優の送迎や音響の仕事まで。
監督の身の回りの雑務や製作現場のあらゆる仕事を請け負い、24時間365日体制、働きすぎ状態。
当時の状態をレオンの家族も語る。

『シャイニング』
『フルメタルジャケット』
『アイズ・ワイドシャット』

と作品を共に作り上げていく。
レオンなくして、キューブリックの仕事は回らなかった。
監督が望んだ形で遺作の『アイズ・ワイドシャット』が最後まで仕上がったのも、作品の全プロセスを知る彼がいたからこそ。
監督の死後も、DVD化、デジタルリマスターや4K版などの作品が形を成したのは、キューブリックの仕事を全て知り尽くしたレオンがいたからこそ。
にも関わらず公の記念展等には呼ばれず、富も名声も無縁だったとは切ない。
それでも死後でさえもずっと仕事に寄り添うとは並大抵のことではないなあ。
今作のようなドキュメンタリーで日の目を見てよかった!
映画制作にはエンドロールの下の方に埋もれてる人こそ、映画を押し上げる存在であり、誰1人欠けても映画は完成しないのだという結びは製作陣への愛が溢れていてよかった✨

エンドロールの背景が、ぼやけたエンドロールなのも斬新だなw
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