たけちゃん

ロケットマンのたけちゃんのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.9
愛が欲しい!


デクスター・フレッチャー監督 2019年製作
主演タロン・エガートン


さあ、公開になりました「ロケットマン」
初日案件とは思ったけど、土曜も仕事で無理でした😂
地元の劇場では18時・19時台の上映が無いって、どういうこと?‪٩(×_×)۶‬
仕事終わり観に行くと、観終わって帰宅が12時過ぎる。それじゃぁさすがに翌日の仕事に影響しますからね。もう若くないし( ¯−¯ )フッ

日曜日の朝イチ。
ようやくお休み。
待ち遠しかったよ~☺️




さて、映画です。
あれ?
音楽映画に甘いたけちゃんが?
スコアが辛いぞ😱
そんな声が聞こえます……

だって……
う~ん、残念😂
思ってたものとは違ったの😔


「ボヘミアン・ラプソディ」を期待してたわけじゃないのよ!あれはミュージカルではなく、ライブ映画でしたからね( ˘ ˘ )ウンウン
でも、今作はミュージカルと聞いていたから、個人的には「グレイテスト・ショーマン」か「マンマ・ミーア」みたいな作品を期待してたんです。思いっきり歌って踊るやつね(ˆωˆ )フフフ…

でもさぁ、ちょっと違った。
エルトン・ジョンの生い立ちを辿る、実に内省的な作品でしたね。

いや、いいんですよ。
そういう映画もありです。
でもね、そうなると、エルトンに共感出来るか出来ないかがポイントになってくるから、その意味で今作は全く苦手でした。
要するに、僕がエルトン・ジョンを苦手だと思う気持ちを再確認する映画になっちゃいました‪٩(×_×)۶‬ゴメンチョ


【エルトン・ジョン】
エルトン・ハーキュリーズ・ジョンは1947年3月25日に、イギリスのピナーで生まれました。本名をレジナルド・ケネス・ドワイトと言います。
王立空軍(RAF)の中隊長だった父スタンリーと母シェイラの間に生まれましたが、レジーが15歳の時に両親は離婚。
4歳でピアノを弾き始め、聴いただけで曲が弾ける神童だったそうです。11歳で王立音楽院に入り、6年間在籍。
このあたりは映画でも描かれていましたね。
みんな、実話です( ˘ ˘ )ウンウン、スゴイワ

1970年にセカンドアルバムからのシングル「Your Song(僕の歌は君の歌)」の大ヒットで広く知られるようになりました。これは名曲中の名曲。個人的にはビートルズの「Yesterday」に匹敵する名曲だと思っています。
この1970年から1975年くらいまでは、エルトン・ジョンの黄金期で傑作、名作がことごとくこの時期に生まれているんです。そして、映画で描かれるように失速していくんですよ……。sex、drug、alcoholに溺れていく。

だから、僕がロックに目覚め、貪るように音楽を聴き始める1976年以降は、ダメなエルトン・ジョンがばかりが目に入るんですよね~。

敢えて言おう!
(奴は)クズである、と。


そう、僕はエルトン・ジョンがずっと嫌いでした。
ジョン・レノンとも親交があるので、知ってはいたし、ジョンとの「真夜中を突っ走れ」は全米1位になりましたしね。でも、この曲もそんなに好きじゃないんだよなぁ。
でも、いい曲はちゃんと認めるので、先の「Your Song」や「クロコダイル・ロック」なんかは大好きだし、個人的なNo.1ソングは「Tiny dancer」です。これはめちゃめちゃ良い曲。
1973年発表のアルバムの「黄昏のレンガ路」なんかはロック史に残る超名盤。
この頃は「Alone Again (Naturally)」で有名なギルバート・オサリバンと並び称されたと言うけど、実によく分かる話。曲調も似てるもんね。


嫌いなのは、エルトン・ジョン本人なんです。
あのいかにも破滅したミュージシャンっぽい出で立ちや言動が受け入れられなかった。
でも、今回の映画を観て、その理由はよく分かりましたよ。彼が負っていた苦労や感じていた苦悩も伝わりました。
それでも、彼は好きじゃないなぁ。
何となく「アマデウス」を観て、モーツァルトの音楽は好きなのに、アマデウス本人は好きじゃないと感じたのと似てるかな?でも、あの映画は素晴らしく良かったけど( ¯−¯ )フッ、サリエリノオカゲ


まぁ、アルコール依存を克服し、復活してきた90年代以降は普通に好きになりましたけど、何か?(笑)
やっぱり「ライオン・キング」が大きかったな!



この映画の幸せなところは「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットですよね。
なぜかと言うと、監督がボラプを仕上げたデクスター・フレッチャーだから。
それだけで絶大な広告効果がある。
みんな、ボラプを期待するもんね( ˘ ˘ )ウンウン


主演のタロン・エガートンを抜擢したのも大きい!
実はタロンくん、イルミネーション製作の「Sing!」で、ゴリラのジョニーの声を当ててましたが、そのジョニーの歌った「I'm Still Standing 」がエルトン・ジョンの曲でした。
そもそも、エルトン・ジョンって、ゴリラのモノマネして歌ったりするので、ゴリラのジョニーがエルトンの曲を歌うのは、ピッタリだったの。

あと、「Sing!」のレビューでも書いたけど、吹替版はスキマスイッチの大橋くんが歌っていましたが、上手すぎちゃってね。あのゴリラのジョニーは、ナイーブな青年だったので、青臭いタロン・エガートンの方がぴったりだと思っていました。
エルトン・ジョンの映画が作られるという話を聞いて、主演がタロン・エガートンだと知った時は、文句なし!って思いましたよね。

驚いたのは、今作では、それよりもがっちりとボイストレーニングをしたのか、力強い歌声になってたことです。
エルトン・ジョン本人はもっと甲高くて、シャウトするとキンキンする感じなんだけど、タロンくんの方が太い声でした。上手く聴こえる!

でも、エルトン・ジョン本人から、モノマネではなく、自分の歌い方で!と言われたみたいだから、それで正解ね。エルトンの歌が聴きたいなら、オリジナルを手にするべきですからね( ˘ ˘ )ウンウン





さて、ということで、ここからは音ネタ💩ウンチクン。
ネタバレになりますので、観てから読んでね。
また、サントラ盤を片手にお読みください( •̀ω•́ )و✧



真っ赤な悪魔のような衣装で登場して、ライブ会場に行くかと思いきや、セラピーに。そこで歌い始めるのが「The Bitch Is Back」1974年発表の「カリブ」収録曲。エルトンの子供時代役の子も上手かったなぁ。
エルトン・ジョンだけが鮮やかな赤で、周りの人たちは色がぼやけているのが印象的でした。それはきっとエルトン、いや、レジーの心象風景なんですよね。

お父さんや家族との関係を映し出す「I Want Love」。家族で歌い継ぐ演出でしたね。
これがこの映画のテーマ曲だと思いました。エルトン2001年のアルバム「Songs From The West Coast」からの曲。

王立音楽院で学ぶかたわらプレスリーなんかのロックン・ロールにも出会う。そして、パブから飛び出して「Saturday Night's Alright (土曜の夜は僕の生きがい)」を歌う。
この場面が今作の白眉でしたね~。
飛び出すのが遊園地だったので、曲のアレンジがカーニバル風(ビートルズ風)で、オリジナルよりも好きでした( •̀ω•́ )و✧

モータウンっぽいグループのバックバンドで稼ぐ時代に流れたのは「Thank You For All Your Loving」。この曲はエルトンがブルーソロジーというバンド時代に書いたものらしい。アレンジがモータウンっぽいよね。好き(笑)

作詞家のバーニーと出会い、意気投合するシーンで使われるのが「Border Song (人生の壁)」。「Your Song」と同じセカンドアルバムから。

バーニーと同居し始めた場面で流れるのが「Rock and Roll Madonna」。これもセカンドアルバムの時期のシングルで、アルバム未収録。今はボーナストラックとして聴けます。あの豪快な女性大家さんのイメージにピッタリだったね。

そして、ついに生まれます!
「Your Song (僕の歌は君の歌)」。
予告編でも使われていましたね。
何も贈れるものがないけど、代わりにこの曲を贈るよ。だから、これを君の曲だと言いふらしていいからね……と歌うこんなラブ・ソング、歌じゃなければ口に出来ませんよ( ˘ ˘ )ウンウン

さあ、エルトンとバーニーはアメリカへ。
LAを車で走らせながら流れる「Amoreena (過ぎし日のアモリーナ)」。ピアノアレンジが初期のビリー・ジョエルみたいだよね。
実は、エルトン・ジョンって、ピアノマンとも言われていて、アメリカのピアノマン、ビリー・ジョエルとも比べられるんですよね。でも、僕はビリー・ジョエル派です!

いよいよアメリカ、トルバドールでのお披露目ライブ。
来ました「Crocodile Rock」。イギリスのロンドンから来たエルトン・ジョン~って紹介されてのまばらな拍手からのノリノリのライブシーンが最高でした!もっとこんなライブ場面を見せて欲しかったなぁ。この場面のタロンくんの演技も最高!

ライブ後の打ち上げ会場へ。ここはママス&パパスのママ・キャスの家ですってΣ(・ω・ノ)ノ!
そこで歌われるのが「Tiny Dancer」。
僕の一番好きなエルトンの曲。
この曲は、「マキシンに捧ぐ」とタイトルに書かれていたようにバーニーが当時の彼女のことを思って書いたもので、映画では、バーニーが女性に向かってしまう中、それを見て孤独を痛感するエルトンが描かれていましたね。バーニーとの気持ちの齟齬が生まれる場面でした。

そんな中、後にマネージャーとなるジョン・リードと愛を交わすシーンで流れたのが「Take Me To The Pilot」で、これもセカンドアルバムから。
ジョン・リードは一時、クイーンのマネージャーもしていて、「ボヘミアン・ラプソディ」にも登場していましたよ(笑)

アメリカで成功を収めたエルトン。キラキラのスーパースターの出で立ちで、流れるのは「Hercules (ハーキュリーズ)」すなわち、ヘラクレスです。実は、このハーキュリーズって、エルトン・ジョンのミドルネームなんです。ヘラクレスって、半神半人の英雄ですが、自分をヘラクレスになぞらえていたんですね。凄い自信!

デュエットのレコーディングシーンで流れる「Don't Go Breaking My Heart」は僕も大好きな曲です。
オリジナルはキキ・ディーとのデュエットで、全米全英共に1位になりました。彼女はエルトンとは何度か一緒に歌っているんですよ。
でも、この場面のジョン・リードとのやり取りが、もう最悪。

次の「Honky Cat」は、乱れ始めたエルトン・ジョンの生活を揶揄するのにピッタリの曲。
田舎から都会に出てきた成り上がり者に、元の暮らしに戻るようにと歌われています。
1972年のアルバム「ホンキー・シャトー」収録。

自分でも何が何だか分からない状態でのライブをこなすエルトン。グルグル回るカメラのシーンで流れたのが「Pinball Wizard」です。これはザ・フーのカバーで、「トミー」収録曲でした。
エルトンは、その「トミー」の映画化の際に映画に出演したことでこの曲を演奏するようになったんです。

とうとう限界を迎えたエルトンは、薬物の過剰摂取で自殺をはかるものの、その2日後にドジャースタジアムのライブに出るという伝説を残します。
そして、生まれた曲が「ロケットマン」です。
予告編でも使われたあのプールのシーンは、実に映画らしい場面でしたね( ˘ ˘ )ウンウン

さらに落ちていくエルトンを描く最低のシーンで流れたのが「Bennie & The Jets」、名盤「黄昏のレンガ路」収録。

そんな彼が出会い、短い結婚生活をする場面で使われる「Don't Let The Sun Go Down On Me (僕の瞳に小さな太陽)」です。元々はアルバム「カリブ」収録曲でしたが、1991年にジョージ・マイケルとのデュエットでリバイバルヒットしました。1985年のライブエイドでも2人で歌ってるんですよ。
ご存知かもしれませんが、ジョージ・マイケルもゲイなんですが、映画では女性との結婚シーンのためか、相手は女性とのデュエットバージョンになりました。

「Sorry Seems To Be The Hardest World (悲しみのバラード)」は、お母さんと再婚相手と共に食事する場面で流れました。確執が決定的になりますよね。

親友バーニーと別れ、そして、再び和解する場面で流れる「Goodbye Yellow Brick Road(黄昏のレンガ路)」。
黄色いレンガ路って「オズの魔法使い」に出てくる道のことですよね。ドロシーはオズに会うためにレンガ路に沿ってエメラルドシティに向かうんですが、実は、オズは偽物の魔法使いで、ドロシーの求めるものは得られないんですよね。
それと同じように、その道を進んでも幸せにはなれないから、煌びやかな生活は捨てて昔の田舎に帰ろう!とバーニーがエルトンに伝える意味で使われたんです。
でも、これ、歌詞の意味や背景が分からないと伝わらなくて、僕としては、今ひとつ映画で感動出来なかったのも、このへんに理由があります。

ついにエルトンが自らの過ちを認めて復活する場面。歌われるのが「I'm Still Standing」です。これは先ほど書いた「Sing!」でゴリラのジョニーが歌った曲ですね。
1983年の「Too Low For Zero」収録曲で、このアルバムからバーニー・トーピンが復活しました。
色々あったけど、まだ、僕は立っている!と歌うこの曲は、確かにエルトン・ジョンの復活に相応しい。
あと、この場面の演出は、実はこの曲のMVと同じにしてあります。わざわざ画質をザラザラにする懲り様。でも、知らない人は分からんよね(笑)




ということで、とってもよく作ってあるんだけど、やっぱりもっとハッピーな映画が見たかったなぁ。
最後に復活するエルトンは分かっていたけど、もっとエモーショナルに演出できたんじゃない?って思っちゃってね。
エルトンの復活にあんまり感動出来なかったから、こんなに良い曲揃いなのに、映画のスコアは4.0未満。無論、サントラ盤は満点です( •̀ω•́ )و✧