湯林檎

ロケットマンの湯林檎のレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.7
エルトン・ジョンに関しては「ライオン・キング」の"Can You Feel the Love Tonight"の作曲者であることと十何年前に同性婚をしたことくらい知らない私がタロン・エガートンのスゴ技(歌、ピアノ演奏、演技)を観るために鑑賞。
そこに関しては文句なしの演技とパフォーマンスだったので不満はなし。正直なんでアカデミー賞にノミネートされなかったのか不思議なくらい素晴らしかったと思うし、エルトン・ジョンの子供時代を演じた子役の男の子は実際の彼の幼少期に似ているだけでなく演技と歌もかなり良かった。

全体的な感想としては純粋に映画というよりはエモーショナルなMVって感じがした。あらかじめ伝記ミュージカル映画だと聞いていたので歌が入ってくるのは承知していたけど現実と彼の心の葛藤のシーンが入り混じった演出は斬新で面白いと思った。特に薬に溺れてプールで自殺未遂を起こす水中のシーンなど実際にMVによくありそうなシーンだと感じた(というか既視感があった)。
この独特な演出法は賛否両論だと思うけどエルトンファンだったら恐らく堪らないのだと思う。少なくとも私がファンだったら限りなく嬉しい。

今作を観て思ったこととしては才能と名声を手にすること≠本当の幸せとは限らないということ。実際エルトン・ジョンは家族からの愛を受けずに音楽の才能だけで富を得て若くして成功したもののアルコール、薬、セックス依存とスターにありがちな落とし穴にまんまとハマってしまっていたのも良くも悪くも人間なんだなと思った。どんなに素晴らしい才能の持ち主だろうと幼少期からの親の愛は至高の贈り物なんだと。
だけど、薬や事故で亡くなったミュージシャンが大勢いる中でエルトン・ジョンは今でも生きていて音楽活動自体は行っているので自分をコントロールする力は元から備えていたんだと思う。
 
あと、日本では少し前に公開された「ボヘミアン・ラプソディ」とマネージャーがミュージシャン達が売れると本性が出てコソ泥になっていった展開が似ていて既視感があった(⌒-⌒; ) やっぱり音楽界や芸能界にいると表舞台に立つスターだろうと裏方だろうと必然的に強欲になっていくからなのか? 芸の力って色々な意味で思っている以上にすごいパワーが働くんだと思った😅
湯林檎

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