はるみ

3-4x10月のはるみのレビュー・感想・評価

3-4x10月(1990年製作の映画)
5.0
どうしようもなく好きな作品。

あの映画はピッチャーは何となく透かしてバッター適当に打ってを繰り返してる誰一人熱を帯びない草野球の試合だから延々終わらない。
そういう温度感の映画。振らなきゃ始まらない映画。
北野映画の初期作は毒と虚無を感じたくて何度も観るがこの作品は何だろう。リフレインだから麻薬で麻痺して痺れてる感じだろうか。あ、笑い茸食ってヘラヘラしてるのに近いかもなあ。

それでも目を奪われる美しいシーンやひりつくシーンはたくさんあるし、暴力的な程に説明を排したカットの見せ方はやはり男性は見ていてクールに冴えるものがあるんじゃなかろうか。

あと、何だろうな。沖縄に行ってからのドキュメントにとことん接近するくらい意図が見えないただの日常(非)のカットの連続で完全にシュール。私はこういうのが大好きなのでもっと延々観ていたかった。

あと柳ユーレイの目と佇まい、ダンカンの声はいいよなあ。

「ヤクザとくだらない事なんかやってんなよ」という台詞は当時の北野武の気分が乗ってるよな。へそ曲がりというか。
しかも、ねずみ小僧や猪八戒に近い食い物に執着してる真人間のダンカンにそれを言わすんだから。
はるみ

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