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3-4x10月のhoshのレビュー・感想・評価

3-4x10月(1990年製作の映画)
3.7
未見の北野映画を見る② 地元の野球団の冴えない青年がヤクザと一悶着を起こし沖縄に飛ぶことになる。忍耐。

「振ってみなきゃわかんねえだろ」柳憂怜が何度もかけられるこの言葉は北野武の若者への眼差しな気がする。

後のあの夏~では波に乗れず笑われ者になるサーファーの主人公が最終的にはその姿勢を周りに認められ仲間になる。キッズリターンでは学生時代から漫才を続けているコンビがラストでは1番尊いものとして描かれる。
振るか、振らないか、銃を撃つか、撃たないか、爆発させるか、させないか。まず状況に飛び込め、そして続けろ。これは北野映画に通底する価値観ではなかろうか。

しかし内容は掴みところがない。自由な編集リズム、ラストの事務所のカチコミの極楽鳥花のクールさ。映画で遊び、観客を挑発して嘲笑うような不真面目な姿勢が画面から伝わってくる。沖縄の相撲は完全にソナチネのプロトタイプですね。後の作品群の萌芽を見るって視点では楽しめたけど、作品単体で面白がるには少し厳しかった。
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