KnightsofOdessa

キングダムのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

キングダム(2019年製作の映画)
3.0
[おい、橋本環奈、仕事しろよ] 60点

何を隠そう"絶賛されている"長澤まさみを観に行ったんだが、超カッコよかったすね。5月時点で去年の日本映画総鑑賞本数と並んだのは喜ばしいことなんだろうと思うよ。まぁそれくらい日本映画は観てないんで昨今の日本映画的文脈から語るのは失礼な気もするが、まぁ良かったんじゃないか。ギャグはめちゃくちゃ滑ってたので、なんであんなギャグを入れたがるのか不思議でならないがね。登場人物たちもスルーしているので余計に謎。入れるのは止めた方がいいよ。

原作は読んでないが、あらすじを適当に読む感じだとかなり映画的に改変しているようだが、まとまりとしては良く出来てると思った。登場人物も大幅にカットしてるだろうし、要潤なんてあんなにちょび髭が似合ってるのにセリフ数えるほどしかないし、取捨選択はよく機能していた(んだろう)。しかし、終盤のアクションシーンで、どちらも中ボスの存在が欠如していたせいで、中庭の闘いが本当にただの持久戦にしか見えないのが非常に勿体なかった。『アベンジャーズ』と比較するのも可哀想だけど、同作は目的を同じくした二つの闘いを平行して描くことに長けていた。しかし、本作品で中庭組は山崎賢人待ちで、せっかく頑張っていた吉沢亮やら長澤まさみやらがそんなに輝いていたようには思えなかった。しかも、アクションシーンでカッコよかったのは山崎賢人のシーンがほとんどで、基本的に中庭組の面々はダイジェストみたいな短さだったのも残念だった。ジリ貧持久戦に心打たれるのは攻め行った時じゃなくて攻め込まれた時だし、攻め入った時にジリ貧になる最高傑作"落とし子の戦い"のような絶望感も全然なかった。長澤まさみも絶賛されるほど登場シーンあったっけ?

あと説明するシーンが多すぎる。最初の"分かったぞ!お前秦の王か!"のシーンとか誰向けなんすか。本郷奏多が8万の軍勢を前に家臣を殺すシーンも無駄だし、テンポがいいくせにいらんギャグと多重説明のクドさが浮き彫りになっている(もしかしたら日本映画の中ではマシなのかもしれない、観てないから知らんす)。一々全部説明しとったら観客みんなアホになるで。

推しの橋本じゅんにスポットが当たっていて嬉しかったが、同じ橋本でも環奈はマジで隣にいるだけだった。原作での活躍具合を知らないのでなんとも言えないとこだが、一つの映画として考えると完全に添え物ヒロインで、ディズニーならぶちギレてるだろう(ちなみに同行者は、R2-D2の形をしたC3-POだが生足はアホ、と言っていた)。

橋本じゅん関連で云えば、彼の登場した竹やぶのシーンはキン・フー『侠女』での伝説の戦闘シーンをオマージュしている。しかも、登場するのが吹き矢という、原作をいい意味でバカにしているのには驚いた。『侠女』ではやる気の全く感じられない弓の使い方によって、矢が滑空するという珍しい光景を見ることが出来るのだが、本作品ではありえん速度で飛んでいくのだ。やりやがったな!面白えじゃねえか!
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