LalaーMukuーMerry

キングダムのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

キングダム(2019年製作の映画)
4.1
中国の春秋戦国時代の末期、秦の始皇帝の中華統一の歴史ドラマ。それがなんで日本映画?(主要人物の役は全て日本人、言葉も日本語) 中国映画だけどインド古代ドラマ、インド映画だけど西部劇、ハリウッド映画だけどチャンバラ時代劇くらいの素朴な違和感が、正直、見る前にありました。
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オリジナルの話は当然中国の歴史書(司馬遷の史記)でしょうが、それをベースにした原作漫画は原泰久による日本の作品でした。日本では縄文から弥生に移り変わろうという遠い昔、歴史書の記録はごくわずかだから、主要人物の史実にだけは忠実だが、書かれてない人物キャラや生い立ち、エピソードなどはすべて原さんの創作になります。現在も継続中で57巻まで出ている人気の大作で、TVアニメやゲームにもなったらしい。違和感は漫画とゲームに無知な私だけ、多くの人はそんなことは微塵も感じないのでしょう。
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主人公はエイセイ(後の秦の始皇帝、漢字が難しいのでカタカナで書きます)ではなく、その側近の将軍となったシン(=山崎賢人)。貧しい暮らしのシンと幼友達のヒョウが誓った将来の夢、王子エイセイとヒョウが瓜二つだったという関係性からドラマチックに動き始めるストーリー・・・
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英雄たちの覇権争いという、もともと面白い素材に現代的な価値観(個人の夢、あきらめない心)が加わっているので、共感要素の多いなかなか面白い作品でした。
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巨大な宮殿セットでの撮影はさすが中国といったスケール感。山の民(どこの民族?)の王宮や仮面などファンタジー要素はわたし的には許容範囲内でした。英雄たちの1対1のバトルシーンが超人的なものになるのは仕方ないとしても、そこにほとんど価値を見出せない私には、この種のシーンでこれ以上尺をとらないでと願うばかり。
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覇権争いの物語は、中国では三国志の時代と春秋戦国時代が代表的、三国志の方が断然有名だから、春秋戦国時代は上級編でしょう。覇権を争っていた国が7つもある!(秦、趙、魏、楚、燕、韓、斉)。でもご安心を。この映画は秦が周辺国を滅ぼし始める前段階、秦国内の敵対勢力が潰されて一つにまとまるまでの物語。登場人物の相関もそれほど複雑でない。
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間違いなく続きの映画ができますね(中国が宮殿セットのある撮影所の使用許可を急に取り消すことがなければだけど)。それにそなえて、地図で中国の省の名を覚えてはいかがでしょう。
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日本の都道府県は47、アメリカの州は50、それに比べれば中国の省は33。それほど難しくないです。(正確には、省が22、自治区が5、特別市が4(北京、天津、上海、重慶)、特別行政区が2(香港、マカオ)なので、覚えるべきは省と自治区の27だけ)
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一度覚えると、ニュースなどで結構繰り返して出てくるので、次第に記憶がしっかりしてきます。古代の7つの国が今の中国のどの省のあたりなのか、わかれば興味レベルは一段アップできるでしょう。