アーリー

デュエリスト/決闘者のアーリーのレビュー・感想・評価

デュエリスト/決闘者(1977年製作の映画)
3.3
2023.7.30

リドリー・スコットの長編デビュー作。
一作目から歴史物。イギリス映画やのにフランスのナポレオン時代の話。原作あり。

キューブリックの「バリー・リンドン」みたいな、時代の流れを映しながら、兵士の半生を追うような内容。絵画っぽいカットを初めは広く撮りながら、ゆっくりズームしていく撮影方法も同じ。今作はデュベールとフェロー二人の因縁がメインで描かれる。
決闘の始まりがそもそもしょーもない事。フェローが血の気の多い人物で、デュベールはずっと巻き込まれてる。4、5回決闘するけど、男二人の因縁の対決感は何処にもなく、なんというかカタルシスがない。一番盛り上がったであろう3回目の決闘がまさかのちゃんと描かれず、決闘後半すでにお互いボロボロの状態のみ映す。凄い消化不良。

そもそも何故2人が戦っているのか。デュベールの対応とか、フェローに対する感情があまり伝わってこない。変に助けたりしてるし。自分の手で終わらせたいからかな。最後生かしたのはデュベールが紳士やから?
フェローも何がしたいのか。何回も負けて引くに引けないのはわかるけど。デュベールとフェローの掘り下げが足りてない印象。お互いどんな人物で、どんな過去があって、どんな人生を歩んで、とかがわからない。すごい勿体無い。

全てがロケなのかはわからないけど、映像としてはレベルが高い。新人とは思えないぐらい手の凝ってるというか、お金が結構掛かってそうに思うぐらいちゃんとした歴史ドラマの映像になってる。90万ドル。たぶんやけど安い方。同時期に撮影されたコッポラの「地獄の目次録」が3000万ドル。演者のその時のギャラとかもあるんやろうけど、結構な差がある。
決闘で肩の肉が削げるシーンとか、ロシアの寒さに凍死した兵士とか、そういうのを普通に描写する。戦争、決闘、歴史、リアリズム。こういう要素はデビュー作からあったんやな。

映像に力入れすぎてストーリーがちょっとおざなりな印象。原作からこんなもんなのか、俺の感じ方が悪いのか。もう少し2人の因縁というところに趣を置いてくれれば、もっと有名な作品になってたのではないか。一応カンヌの新人賞を獲ってるから、実力は認められたし成功ではある。個人的には映像よりも話が面白いかどうかが大事やなと思わせてくれた。
アーリー

アーリー