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斬、のyawaraのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.5
人を斬るとはどういうことかを克明に綴る。

終始その臨場感に圧倒された。
都筑の葛藤の根幹は斬られる恐怖心ではなく、命のやり取りそのものに対する迷い。真剣に対して棒きれで立ち向かってしまう無謀さにこれが現れている。しかし、彼は剣豪に認められたように使い手としては一流なのである。転じて、刀を抜けないのは相手との力量差を明確に感じ取ってしまう事にも起因するように見えた。
ようやく刀を抜ける(というより、抜かざるを得ない)相手が、自分の力を認めてくれた剣豪だったというのは、巡り合せの残酷さ、現実のシビアさを痛感させる。二人の立ち会いは静謐さを讃えていてたいへん見事。剣豪の一太刀を浅くしたのは、やはり都筑の天性の才だろうか。

時代劇らしい時代劇ではないが、既存の何かに収まらない塚本監督らしい感性が活かされた切り口であるように思います。
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