福福吉吉

斬、の福福吉吉のレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
3.5
江戸末期において浪人の都筑杢之進(池松壮亮)は農村に身を寄せ、手伝いながら、農家の息子・市助(前田隆成)に剣の稽古をつけていた。ある日、杢之進は剣豪の澤村(塚本晋也)に出会い、スカウトされる。それに同意する杢之進だったが、杢之進には剣に対して大きな迷いがあった。そんな中、農村に悪党集団が入ってきて、杢之進たちは争いに巻き込まれる。

ストーリーはシンプルに杢之進の心の中にある「斬る」「斬らない」の心情の揺れ動きを描くことに主眼を置いており、杢之進は武士として奉公する建前で動くものの、人を斬ることについて葛藤が大きく、ストーリーが進むにつれて、かなりカッコ悪く描かれています。とても無様で農家の娘・ユウ(蒼井優)からも呆れられますが、杢之進のこの姿が非常にリアリティがありました。追い詰められた人間の本性ってこれぐらいカッコ悪いものだと思いました。それが生死を分かつときであれば尚更だと思います。

良くも悪くも「斬る」という一点に絞った作品であり、評価は分かれる作品だと思います。
私は面白かったです。一線を越えるときの狂気のようなものを感じる作品でした。

鑑賞日:2023年4月13日
鑑賞方法:CS 時代劇専門チャンネル
福福吉吉

福福吉吉