加登魁修カドカイシュウ

斬、の加登魁修カドカイシュウのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.0
音の説得力が凄い!音にぶん殴られる!!

前作の野火、画もめちゃくちゃコワいんだけど、それ以上に音がおそろしくて、おそろしくって。
野火を劇場で観た時は、作品は素晴らしいけど、おそろし過ぎて、もう二度と観たくないなーという相反する気持ちを抱いた。
斬、の感想も野火のそれと同じ

塚本晋也作品の特徴の一つは、しつこいようだけど『音』。HAZEなんか正に音の映画だと思う。

今作、『斬、』の「ググッ・・ヂヂヂヂッッ」ていう刀の効果音の存在感!刀持ったことないけど、きっとこんな感じなんだろうと思わせる説得力!!音の威力にやられた

メッセージは野火で訴えていたものとほとんど変わらないなと思った。
アッチ側へ逝っちゃう恐ろしさ

野火は、戦場という非日常を生き延び、日常へ帰還するものの、精神に変調をきたす。
アッチの世界から、こっちの世界へ肉体は戻ってきたものの、精神はアッチの世界へ逝っちゃった

『斬、』の舞台の移動は、野火のそれとは真逆で、切った張ったが無い、日常から、切った張ったの世界、非日常へ。
その結果、肉体も精神もボロボロになって、心身共にアッチ側の世界へ逝っちゃうという。野火以上に残酷じゃないか(恐怖
(因みにHAZEはアッチへ逝きかけちゃった人が、こっちへちゃんと戻ってくる話なので、HAZEはHAZEで、これまたすげぇおそろしいんだけど、2回観れる)

小難しい話はやめて、かるーく『斬、』を語るなら、これって時代劇版エヴァンゲリオンだなと思った。
主人公浪人の繊細さは、シンジくんのそれと通ずるものがあった。
塚本晋也は、もちろんゲンドウ。自分の本懐を遂げるためには、手段を選ばない感じが。
蒼井優は、感情豊かな綾波レイといったところだろうか。

おもしろかった。しかーし!!塚本晋也よ、今の時代だからこそ、こういうメッセージを届けたいという気持ちは分かるけど、そのメッセージが現実に肉薄し過ぎてて、何度でも言う、おそろいんだよ!!
次回作は、娯楽作品で、一つ、お願い頂けないだろうか?