FutosiSaito

斬、のFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
3.9
 インディーズの王、孤高の監督、塚本晋也は撮り続ける。
 センセーショナルだった『野火』の延長線上で。
 見終わったときには何だか短いし、シチュエーションとしては主人公が剣戟するまでだし、とかしっくりこなかった。
 だが、たまたま鑑賞前に読んでいた監督のインタビューを思い出し、文字で確認するうちに腑に落ちてきた。
 やはり『野火』の先にあった。
 このところの権力への「忖度」や、逆のベクトル相容れない相手への「排除」や「敵意」だ。
 そして、暴力、時代劇なので刀によるものなのだが、明らかに暴力を振るうとはどういうことか、人を殺すとはどういうことか(どのようなストレスを受けるのか)を表している。
 空軍・海軍特攻も「みんな行っているから」やれと言われ、忖度させられた、拒否できる雰囲気ではなかったと当事者たちは証言している。
 監督は、きな臭い時代だからこれを撮ったという。
 メジャーでなくインディーズで自己表現を続ける塚本監督は、やはり偉大だ。
 
 
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