インディーズの王、孤高の監督、塚本晋也は撮り続ける。
センセーショナルだった『野火』の延長線上で。
見終わったときには何だか短いし、シチュエーションとしては主人公が剣戟するまでだし、とかしっくりこなかった。
だが、たまたま鑑賞前に読んでいた監督のインタビューを思い出し、文字で確認するうちに腑に落ちてきた。
やはり『野火』の先にあった。
このところの権力への「忖度」や、逆のベクトル相容れない相手への「排除」や「敵意」だ。
そして、暴力、時代劇なので刀によるものなのだが、明らかに暴力を振るうとはどういうことか、人を殺すとはどういうことか(どのようなストレスを受けるのか)を表している。
空軍・海軍特攻も「みんな行っているから」やれと言われ、忖度させられた、拒否できる雰囲気ではなかったと当事者たちは証言している。
監督は、きな臭い時代だからこれを撮ったという。
メジャーでなくインディーズで自己表現を続ける塚本監督は、やはり偉大だ。