鰯

斬、の鰯のレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
3.4
私も人を斬れるようになりたい

異国からの脅威に揺れる幕末。農村で手伝いをする浪人・杢之進の元に、剣の達人澤村が現れ、京都へ行こうと持ちかける

実は、塚本監督の作品は初めて。「シンゴジラ」での演技はめちゃくちゃ好きだったんですが、まさかこういう作品を撮る方だったとは...

農村で気楽に暮らしていた浪人が人を殺めて云々、みたいな話かと思いきや、まあ殺さない。全く刀を抜くことすらできず、家に帰っては...
じゃあそれでダメな人間なのかというと、そんなこともない。農村に訪れる山賊と思しき連中を農民一同が恐れる中、彼は酒を酌み交わして仲を深める。何というか途中からはかわいそうでしょうがない。

対して、杢之進と恋仲にある”ゆう”は、ほぼサイコパスといっていいキャラクター。これが本当に怖い。もう言うこと為すことめちゃくちゃだし、どうかしている。感情は理解できるけど。汗臭そうな男性陣より、遥かに物語を推し進める力がありました。蒼井優さんの演技も凄まじかった。個人的にはオーバーフェンスが蒼井優さんのベスト作品でしたが、それに迫る表情が見られました。

最後は、いい意味で何が何だかよくわからない泥沼に登場人物がはまっていくようで、笑っていいのか真面目な顔して見るものなのかすらわからなくなっていく。比較的短い作品のはずなのに、3時間くらいに感じる重たい1本です。
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