とっしー

さよならくちびるのとっしーのネタバレレビュー・内容・結末

さよならくちびる(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

アコギ持った女の子たち、というパッケージに惹かれてアマプラで鑑賞。

ものすごくドラマチックな事件が起こるような物語ではないが、生きていく中での悩みとか葛藤をゆったりした空気感の中で描いてる心地良い映画だった。

ストーリーに関して、解散を前提としたラストライブツアーで解散までを描く話とのことで、最後どうするのかと思っていたら結局解散しない、となり最初は「ハッピーエンドにするのね」と思ったが、監督のコメントを読むと「何も解決しないまま先に進むという意味ではアンハッピーエンド」ということでそういう意図なのかと納得。

ただ、劇中でハルは、レオやマッサージお姉さんに対し「人の目を気にせず、生きたいように生きるかっこよさやそれに対する憧れ」を抱いていたが、最後のライブツアーを通して、最終的には「解散しないという何も問題は解決しない、バカみたいな選択だけど、カッコ悪くても生きたいように生きれる理想の人間」に一歩近づけた、という意味ではやはりハッピーエンドだし、「失敗ばかりのアンハッピーな人生も、そこには小さなハッピーがある」というメッセージにも感じれて良かった。

また、焦点を当てたのがバンドというのも個人的には好きだった。多くのバンドはそこそこ人気が出ても大衆に認知されることはないまま解散ということは良くあると思う。それを側から見る人は「夢を叶えられなかった可哀想なひとたち(=アンハッピー)」と受け止めてしまうし、実際そうなのかもしれないが、当人たちにしか感じることのできないハッピーがあったはず、という意味でバンドにフォーカスしたのはこの映画のテーマとの親和性が高くて良いなと思った。

長くなったがまあハッピーかアンハッピーかは置いといて、万人にお勧めするインパクトある映画ではないけれど、全体を通じて空気感や表現するのが難しい葛藤をしっかり表現するメイン3人の演技、話のテーマが好きな作品だった。
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