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さよならくちびるのnetfilmsのレビュー・感想・評価

さよならくちびる(2019年製作の映画)
4.1
 助手席に座った女が1人、気怠い表情で外を見ながら、たばこの煙をゆっくりと吐き出す。彼女とルームミラーで偶然にも目が合わないように、後部座席の女もまた外の景色に目を向けている。2人の間に横たわる心底気まずい空気と長い沈黙。それをかき消すかのように、運転手でマネージャーの男は2人に今日の目的を伝える。お通夜のような雰囲気の3人を乗せて、黒の4WDは軽快に走り出す。ハル(小松菜奈)、レオ(門脇麦)、そして志摩(成田凌)。映画はほとんどこの3人の道中しか映さない。2018年7月14日、浜松で始まった「ハルレオ」の解散ツアーは大阪、新潟を経由し、北海道へ。軽やかなツアーの旅と、重苦しい三角関係の対比。それは大団円となるはずの北海道へ向かうまでほぼ変わりない。3人の間に特に大それた出来事が起きるわけではない。互いの感情のひだが、たばこの煙のように静かに燃えては、いつの間にか消えている。その様子に、ずっとスクリーンの中を観ていたい衝動に駆られる。

 自分自身の五感を研ぎ澄ますかのように、ギターに向き合いながらメロディを奏でるレオの天賦の才能、聴き手としてはど素人ながら、ヒリヒリするような青春の残り香を歌にするハルのカリスマ性、それを3歩後ろから支える志摩の立ち位置が妙に心地良い。今作は決して3人のバンドではなく、2人による「ハルレオ」という名のデュオなのだ。途中、レコ屋の場面でも明らかなように、ホスト上がりの30代は既に一度夢破れている。2人の運転手として、マネージャーとして、伴奏者として献身的に2人を支える姿は、成田凌という役者にとって『愛がなんだ』の田中守よりも当たり役に見える。2人が恋したボロボロのつなぎ、コイン・ランドリーで無造作に突っ込んだ洗濯物、男の嫉妬の餌食となり、ボロボロに殴られた男が見た湖畔の光景、自動販売機の前でのキス。全てのイメージは掛け替えのない瞬間となり、美しい歌声は観客の心にゆっくりと語りかける。

6/7(金)21時〜、ミヤラジ77.3FM『We Are Movie Lovers.』は、
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公開記念!! ゴジラ大特集!!

ゲストはゴジラと言えばこの方々しかいません。
番組初登場のゆーべんさん、特撮映画ヲタクの中野くんです。
ゴジラ、特撮好きは是非ともご視聴下さい。
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