140字プロレス鶴見辰吾ジラ

さよならくちびるの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

さよならくちびる(2019年製作の映画)
3.5
【コンビ】

冒頭の粗雑な荷物の扱いで期待感が湧いたが車内の男を伝言役にしたデュオのやり取りの日常から浮いた感覚で作品の強度が伝わってしまった。不仲による解散を決めて最後のツアーに臨む女性デュオ“ハルレオ“のロードムービー。過去の出逢い含め回想シーンが入るが小松菜奈の髪の長さで判断を迫られるネガティブなシームレス仕様。不仲の要因も含めて素養や素質のない者を業界に引き込んでしまった憂いがあり、お笑いコンビの結成から不仲にいたるまでと根幹は似ている同じ穴のムジナ。そこにマネージャーの男が絡むので中盤は枠外に話しが揺れる。それでも繋ぎ役としての役目をファミレスやラストライブのギターリフで見せているので一概にネガティブに捉えられない。作品の熱情は最後の北海道へ向かう流れまで弱く、特に松本まりか演じるインタビュアーの純粋なファンと演出的悪意が重なるシーンの居心地の悪さはヤバい。ここは誇張しすぎで、ファンに言わせればいいのにと。それでも熱情をもったラストライブ。特に2度演奏される「さよならくちびる」の際の逆光照明とレンズフレアの優しく広がる感じがゾーンに入ったと思わせる。「ボヘミアンラプソディ」方式でラストライブの歌の歌詞が今までを振り返っているように感じる麻薬性があり、中盤で歌唱シーンを抑制しなかったのは正解。何だかんだ不仲だ!解散だ!といっても中盤以降の車移動を終えた後の2人の歩きのアクションに確かなコンビネーションを感じさせ、ラストも車から降りるそこからの動作で締める。熱情とともに冷静さは失っていたので最期は前振りも含めてコントのような質感を受けてしまった。そして相変わらず私は、門脇麦の質感が好きだ。