よし

二宮金次郎のよしのレビュー・感想・評価

二宮金次郎(2018年製作の映画)
3.5
金次郎の『これがわたくしの魂でございます!』は個人的にバズっていましてしばらく真似してました。

二宮金次郎は名前は知っているけれど何をした人なのかを知らない偉人で、この機会に映画を観てみました。

ただ、映画の中では金次郎の仕法について語られる場面が少なく関連の書籍も幾つか読んでみましたのでレビューは純粋に映画に関してだけではないです。

監督は『報徳記』の内容を中心に映画を撮られていると思います。『報徳記』は二ノ宮金次郎の弟子が書いているため、又聞きで曖昧な部分や師を持ち上げる部分が見られると思います。金次郎の勤勉さの例として挙げられる少年が薪を背負って『大学』を読むスタイルは二宮金次郎自身の日記などを見ると正確ではないようで、薪の販売は彼が二十歳過ぎに行っていた仕事であり、本は購入しているものの薪を背負いながら読んだ訳ではないようです。

そもそも農民たちが彼の実直さや心が熱いというだけで絆される訳がないと思ったのですが、金次郎は農民がやる気を出すための施策も行っています。

具体的には、農民が元々所有していた荒地を開発した場合は一反で米二斗、荒地を新しく開発すれば一反で米一俵(二斗の2倍)を与え、農民が自主的に開拓地を増やしたくなるような枠組みを作りました。

それ以外では映画に描かれていたように真面目な農民を表彰しただけではなく、70代の高齢者に報償金、借金なく暮らしている者は免税など、社会的弱者を助け、手本となる人を積極的に誉め称えて勤労意欲を高め、農民が生活地盤を固められるようにしています。

また、桜町の米の販売価格が安かったため、米を小田原で売却し仕法金として農民に還元したり、『大和俗訓』から冷害を予測し稗の蒔き付けを指示したりと知識による行動とその結果で農民に支持されたのだと思います。

映画では感情論に訴える部分が多く、具体的実績を描く部分が少なかった点は不満でした。(書籍も思想論が多く、仕法の取り組みについて書かれた物が少ないように感じます)

ただ、私が映画で最も感動した部分は対立関係にあった武士の豊田正作を味方にしてしまった行動力であり、口先だけではない人はいつの時代もかっこいいです😄
よし

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