ていざむらい

ディープ・ブルー2のていざむらいのレビュー・感想・評価

ディープ・ブルー2(2018年製作の映画)
1.7
まず初めに、私の大好きな傑作サメ映画ディープブルーに謝って欲しい。同じ名前を背負ってる正式な続編のくせに、前作が好きで思い入れのある人ほどガッカリし、時間の無駄だったと鑑賞したことを後悔する作品。別に前作を神格化してるわけじゃないけど、制作陣がもっと前作に敬意を表し愛を持って作っていれば低予算でも多少はマシになったと思う。これをなかったことにして、ジェームズ・ワン監督あたりにもう一度きちんとした2を撮り直してほしい。


良かったところ
・サメのCGは悪くない
・アジア人科学者の旦那の方の死に方はいい
以上。これで0.9点+0.8点くらい



駄目だったところ
・前作の良さを全く出せてない
前作は海底施設からの脱出×迫り来るサメの恐怖が最高に噛み合ってた。今作はどっちも中途半端、なのに下手に脚本やキャラを前作に寄せようとしてるから腹立つ。しかしそのくせ気の利いたオマージュのひとつすら出来ない。似てるのに全く違うという酷さ。なら最初から世界観だけ地続きさせた上で別の方向からアプローチするなりなんなりした続編作れ。

・死に方が全く印象に残らない
パニックものの映画としては致命的。奇想天外な最期にしろとは言わないからせめて登場人物ごとに差別化を図れと。
・無駄なシーンが多い
低予算だから極力サメのCGシーン省きたかったからなのか何なのか知らないけど、とにかくシーンの無駄使い多すぎ。登場人物たちが内輪揉めするのはまあいいとして、それがいちいち、いっちいち挟まると見ている側としてはフラストレーションしか貯まらない。何回やるんだよっていう。しかもそれがストーリー展開に活きてくるでもなし、ただ無意味に延々と口論するだけ。そのうち飽きてくる。サメに体当たりされて気絶した男を助けるシーンも、あんな延々と描写する必要あったの?尺稼ぎとしか思えない。各シーンにメリハリがなく、テンポも悪すぎ。

・サメに迫力がない
サメ映画として致命的。子鮫を出すアイディアは面白いと思ったけど、見せ方が壊滅的に下手くそ。背びれを覗かせてゆっくりと近づいてくるのは、巨大なサメでやるから恐怖を感じるのであって、同じことを子鮫でやってどうすんの…。殺し方も全く同じパターンで、子鮫がピーチク鳴きながら、波を立てて近寄ってくる→登場人物逃げる→逃げきれず死亡orギリ逃げ切る…ぜんっぜん怖くないんじゃ。母鮫に追われる→狭い所に逃げ込んで安心→隙間から子鮫侵入→慌てて飛び出したところを母鮫に食われるとかやらんかい。本当に、良かったのはいつの間にか下半身食われてたシーンだけ。子鮫ならではの殺し方ももっとあるでしょ。口から侵入して内側から体を食い破るとか。まあそれでも怖くなるかは微妙だけど…だってどうやってもピーチク鳴く子鮫は迫力に欠ける。ていうかそういう路線を見たいならピラニア見る。

・薬キメながら考えたとしか思えないラスト
もう何も言うまい。ていうか忘れたい。


悪いところはもっともっとあるけど上げだしたらキリがないからこのくらいで。基本的に続編を視聴する時、なるべく前作への偏見・肩入れを排除してそれ単体の評価を心がけている私でも、これは本当に許せなかった。ので、超辛口になってしまった……20年近く待ち望まれた結果がこれだものなあ。最初からわりと嫌な予感がして手を出せずにいたけど、やっぱり前作が好きだから食わず嫌いせずに見てみるか、と勇気を出したのに……このレベルでネタじゃない本格サメ映画気取ってる分アサイラム系よりタチ悪い。

前作好きな方は本当見ない方がいいです。自ら傷つきたいドMにはおすすめ。