じーふい

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのじーふいのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

予習時間20分で観に行った者の感想

事件後の京アニ作品なので、ある種義務感を持って観に行った。

YouTubeにあげられている『5分で分かる〜』シリーズを視聴し予習をした時点では、そこまで期待はできなかった。

映画は3つの人物の物語からなっている。
デイジー、ユリス、ヴァイオレットだ。
デイジーは本編よりも随分先の人物でヴァイオレットの足跡を追ういわば傍観者だ。観ている者の立場に近い。
ユリスの物語は言ってしまえばありふれた病気の子供の話だ。
ヴァイオレットと少佐の話がこの映画の核となる。

ユリスの物語は最も単純で"泣かせ"のパートになっている。病に侵された子供の儚さ、イノセントさでもって観る者を泣かせにかかってくる。これが京アニ作品であると思うと自然と涙が出てくるのはここである。泣く場面を指定してくれているようで、普段はそういったいきすぎた配慮は嫌いなのだが、今回ばかりはおとなしく泣いておいた。
ヴァイオレットと少佐の物語は贖罪と愛の物語である。ヴァイオレットは先の戦争での体験には一定の区切りをつけ、愛する父、恋人である少佐を探し求める日々だった。少佐は戦争での罪の意識に苛まれ、身分を偽りかつての敵国で学校の先生をしている。そこへ訪れたヴァイオレットを少佐は罪悪感から拒絶する。自らが少女を兵器に育ててしまったことを悔いているのだ。愛する娘、恋人のヴァイオレットと顔を合わせてもいけない、これが少佐が自らに課した罰である。これも一つの正解であるし、このまま終わっても構わないとさえ思う。しかし、少佐はヴァイオレットと再会そして一生一緒にいることを誓う。これは少佐にとっての贖罪である。ヴァイオレットに普通の女性になってもらうためには親離れが必要であるが普通であることを諦め少佐はヴァイオレットと添い遂げることを決心した。おぞましくも美しい2人の物語はここで終わる。
デイジーは伝説となったヴァイオレットを知り、自らも家族に手紙を送る。まさにこの映画を観た我々もヴァイオレットの伝説に触れたのだ。アニメーションとは何であるか。映画とは何であるか。今生きる我々に勇気感動を与えてくれるものではあるがこれに感化された者が次に起こす行動こそがこの映画の真の価値を現すのだ。
じーふい

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