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将軍家光の乱心 激突のやむちゃのレビュー・感想・評価

将軍家光の乱心 激突(1989年製作の映画)
3.7
備忘録
1989.1に鑑賞。

徳川家光の子、竹千代を無事江戸城まで、守り送り届けようとする用心棒集団と、竹千代を暗殺しようとする根来忍者たちとの戦いを描いた作品。

なんとなく里見八犬伝っぽい感じ。
里見八犬伝-ファンタジー要素+東映風味な作品。

初めて観たときは、本当にビックリした。
当時の日本映画は、起承転結がキッチリしているのが定石だった。
それからすれば、用心棒達が一人ひとり集まっていく過程を描くのが従来のやり方だが、今作はオープニングから登場人物はすでに揃っており、激しいアクションシーンから始まる。

登場人物の背景などが描かれないため、人物に感情移入しづらいという欠点はあるが、アクションをバンバン詰め込めるため、ダイナミックなアクションが連続して楽しめるというメリットがある。
あらすじは劇中のセリフで説明される程度で、あとは最初から最後までアクションのつるべ打ちだった。

ラストの緒形拳と千葉真一の対決は、前年の必殺4での蟹江敬三vs千葉真一のブラッシュアップ版。雰囲気は西部劇かマカロニ・ウエスタンのようで痺れた。

長門裕之(のスタントマンJACの卯木浩二)が馬に乗ったまま、全身火だるまになって駆け抜けるシーンも迫力があった。
確か本作が、日本で始めてハリウッドの専門家を招き、特殊な薬剤(ジェル)を塗って火だるまのシーンを撮ったと思う。

惜しむらくは、緒形拳と千葉真一以外に集客効果のある華やかなスターがいなかったこと(織田裕二が出ているが、当時はまだ若手の無名俳優だった。特別出演的に丹波哲郎や松方弘樹は出てくるが…)。
もう少しヒットすれば、続編などの可能性もあったのにと思うと残念。
JACが大きく関わっている作品なのだから、用心棒の中に真田広之や志穂美悦子(当時すでにJACを退団していたが)、せめて黒崎輝や大葉健二がいればと思った。
まぁ、それだとほぼ里見八犬伝になってしまうけれど…。
JACの若手だった真矢武や浅利俊博(里見八犬伝の真田広之風の衣装だったw)が頑張ってはいたが…。
少林寺で猿拳を披露していたフー・チェン・チャン(胡堅強)が出ていたが、あまり目立った活躍がなかったのも残念だった。

東映としては頑張って(角川映画を意識して?)、時代劇なのに主題歌をアルフィーにしていたが、ピント外れな感じがした。
こうした辺り、角川春樹のセンスは流石といったところ。
どうせなら洋楽のロック、日本でならLOUDNESSやVOW WOW(当時)の英語のハードロックあたりで攻めて欲しかった。

とは言え、日本でもこんなアクションに特化した作品が作れるんだとワクワクさせてくれた作品。

真田広之や堤真一、岡田准一、伊原剛志、綾瀬はるか、佐藤健、清野菜名あたりでリメイクしてくれないかなぁ。
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