このレビューはネタバレを含みます
家族のトラウマ、過去に囚われた男の苦悩というテーマもとてもキング作品らしい。因果は巡り、あの可愛かったダニーが親父同様、アル中の中年になっている。切ない。ダニーにはダークサイドに落ちてしまった実父ジャックと、もう一人の父親的な存在であり理解者の ｢ディック･ハロラン｣ がいた。ディックの魂は今も時々ダニーを助けている。そして、ダニーは親父の邪悪な誘惑に打ち勝ち、シャインを持つ少女アブラの守護者となった。ディックが自分を守ってくれたように。このあたりのドラマ部分は ｢ユアン・マクレガー｣ の繊細な表情もあってとても良かった。アブラ役の ｢カイリー･カラン｣ ちゃんの理知的な目もいい。そしてもう一人の主役はもちろん ｢オーバールックホテル｣ 。クライマックスのホテルのシーンは心からワクワクした。雪道を行く車を頭上から俯瞰で追うショットにもう胸が熱い。封印されていたホテルの幽霊達が目覚める。こちらもバケモノ達なんだけれど、なんだか懐かしくて ｢おかえりなさい、待ってたよ｣ と嬉しくなってしまうのがおかしい。あの ｢風呂ばばあ｣ なんかちょっと可愛く思えてくるから不思議だ。｢この世には邪悪が満ちているが恐れず戦うんだ｣ ｢そして大人は未来ある子供の才能を守り助けるんだ｣ というストレートなメッセージもよかった。キューブリックの ｢シャイニング｣ では、原作と違い幽霊の存在はやや曖昧な描写になっている。そのあやふやな感じがまた怖くて良かった。キング先生はこの続編で幽霊達をもうちょっと ｢フィーチャーしてあげたかったのかな？｣ とも思った。
