シネマスナイパーF

ドクター・スリープのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
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稀代の映像作家スタンリー・キューブリックによる傑作シャイニングの続編
を期待しちゃダメなのはわかっていたけどさ
キューブリックのシャイニングの続編としては同人誌レベルかな
ただそもそも原作のシャイニングがクライマックスでホテル破壊していることを考えるとホテルに舞い戻るという展開は映画でしかできない所業であり、話としてはキューブリックシャイニングの続編として終わらせにかかるまさに出血大サービスだと考えればめちゃくちゃ気を配って本当によくやったと思うよ
スティーブン・キングによる小説シャイニングの続編ドクター・スリープの映画化として、そして30年以上経って前作を補完してくれる作品として、非常に楽しい映画でした


あくまで監督本人の映画であることも重要なので、フィルモグラフィーをあまり存じ上げないのでデカイ口叩けませんが彼なりに作った映画なのは確かです
もしキューブリックのシャイニングと同じような作品にするならレフンとかサムメンデスとかに頼んでると思うし仮に彼らに頼んだとしてもやるとは思わないしな
ただホラー映画ってほど怖くはなく、ダークファンタジーって感じ
良くも悪くも、いや悪いことはないですが、キューブリック的な演出からは程遠い作品になっていますね
そりゃそうか

キューブリックが能力としてのシャイニングにあまりフォーカスを当てなかったのに対し、今回はそここそを重要視しているのでスティーブン・キングエッセンスが強いのかもしれない
ただそれなら一作で描ききるには難しい気もするよね
クライマックスは完全にファンサービスに時間割かれちゃったからな
寿命とちょっとの特集能力以外普通の人間と耐久力変わらない割と弱めの人達とのバトルが大部分で、その間に改めてダニーの内側を語り直す

幼少期の経験が原因でトラウマを抱え父と同じような道を歩み始めるダニーが、呪いだと思い込み押さえ込んできたシャイニングの良い使い道を見出し発揮し始めたタイミングで、強いシャイニングを持つアブラと同期する
悪しきものを継承しつつ勇気を持って克服し、呪いだと思っていた力を受け入れメンターとなりその力の誇らしさを継承する
親父のモノマネ芸人と例のバーで話すところは顔さえちゃんと似てればもっとグッとくるところだったんだけどな

ホテル戻ってからは改めてキューブリックのセンスに驚嘆
あの内装は完璧すぎる
人を狂わせる場所だからといっておどろおどろしい内装するわけではなく、バキバキの様式美で固めたあの感じはやっぱりまた会いたくなるよ
やつらの力を借りるっていう発想は正直燃えた
やつらも燃えましたけどね


レディ・プレイヤー1より先にやってればな…と思わずにはいられないな
スピルバーグはセコい