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美少女戦士セーラームーンEternal 後編のmaverickのレビュー・感想・評価

3.9
『美少女戦士セーラームーンCrystal』の続編である『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal』の後編。「デッド・ムーン編」の結末が描かれる。


冥王せつな / セーラープルート、天王はるか / セーラーウラヌス、海王みちる / セーラーネプチューン、土萠ほたる / セーラーサターンが満を持して合流。最終決戦に向けて話も盛り上がる。劇場版らしさを感じられ、前編よりは楽しめた。セーラーカルテットの流れとか結構感動的だった。

気になったのは敵の扱い。尺の都合でだいぶ端折られていたからか、容赦なく消滅させる展開に少々違和感。仕方ないとはいえ、何だかセーラー戦士たちが非道にも見えてしまう。ボスであるネヘレニアの疎外感というか、そっちの方が強く出ていてちょっとかわいそうにも思えた。自分の頭に話が入ってこなかったからかもしれないが、もっと非道さを浮き彫りにさせるか、敵の悲しさに寄り添う部分が強ければ、もっと良かったと思うが。

ネヘレニアを演じた菜々緒、ジルコニアを演じた渡辺直美は結構上手かったが、それでも本職の声優さんと比べると粗がある。そうまでして起用する意味があったのか。『セーラームーン』でさえも、こうした有名人枠を使ってくる。上手い下手関係なく、こうした業界の流れは何だか残念だ。

エンディングが一番興奮したかな。『セーラームーン』っぽさがあり、今の新しい曲も良い。最後は熱く盛り上げてくれる。作品の出来としては旧作の方がやっぱり好きだけど、それでも復活してくれたことが素直に嬉しい。原作寄りという部分で差異を感じる楽しみもあった。セーラーカルテットを含めたこの後の話も気になるので、続編化に期待したい。


新シリーズは原作寄りに作り替えられたのがウリであり、原作ファンからは受けが良いようだ。でも自分はやっぱり旧アニメ版が好き。女の子向けの作品なのに、何で自分が旧アニメ版の『セーラームーン』にハマったのか。その理由がはっきり分かった。旧作の方は、男の子でも魅力を感じる作品性だったのだなと。女の子たちの可愛さだけでなく、変身バンクの美麗さ、かっこよさ。必殺技の派手な演出など。バトルものが好きな男の子を夢中にさせる熱血さに溢れている。コミカルとシリアスが同居した面白さ、テンポの良さ。笑いと感動に溢れた優れた作品。女の子向けであっても、男の子を面白いとうならせる秀でたアニメだったのだ。海外にも熱狂的なファンがいる作品としても有名。2021年の東京オリンピックでも、新体操のウズベキスタン代表がリスペクトを捧げて話題になった。今もなお愛される、日本を代表するアニメ作品なのだ。良いものは良い。多くの人を魅了する。それは当たり前のことなんだと。原作は少女漫画であり、女の子のハートをがっちりキャッチした作品性なのだと思う。旧作が本作同様に原作寄りであれば、自分は『セーラームーン』のファンにはなっていなかったと思う。本作にイマイチ魅力を感じなかったのはそういうことなんだなと理解した。

原作、旧アニメ版、Crystal。それぞれにファンがいて良いと思う。あ、テレビ版もあるか(笑)。とりあえず自分は旧作ファン。久々に『セーラームーン』熱が復活したので、昔の作品を観返してみようかな。
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