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シムソンズのwesttribeのレビュー・感想・評価

シムソンズ(2006年製作の映画)
3.9
(劇場公開時のレビューを貼り付け)

トリノ五輪で一躍脚光を浴びた、カーリングを題材にした青春ドラマ。
しかもモデルは、五輪代表メンバー小野寺・林が所属し、
ソルトレーク五輪に出場した実在の同名チームだ。
映画についての予備知識はほとんど持っていなくて、
アイドル映画に毛が生えた程度かも、と思って観に行ったのだが…。

おもしろいじゃん、これ!
不純な動機で競技を始める。仲間集め。メガネっ子。
確執。ワケありの選手。暗い過去のあるコーチ。
正真正銘、清く正しく美しいスポ根です。
監督の佐藤祐市はドラマ「ウォーターボーイズ」の演出を手がけるなど、
青春ものには定評があるそうな。

ストーリーのテンポが良い。
特に前半は演劇やコメディを思わせるセリフ回しや間の取り方が多用され、
観ている方もいつの間にか映画のペースに巻き込まれている。
中途半端に恋愛要素を入れなかったのもよかったのでは(皆無ではないが)。
これでウザイ同級生男子とか出てきたら、話が間延びしそうだもんな。
藤井美菜演じる美希の天才少女としての過去と、
心を開く過程は、もう少し描き込んでほしかったが。
和解のシーンは、ちょっと唐突だよな。
マサトと美希の関係も、もう少し説明してもいいかと。

とにかくさわやかなのだ。
青臭いセリフの数々を違和感なく受け入れさせてしまう力がある。
「絶対後悔しない『今』にしよう」
「このウソつき」「ごめん」
「今、お前らがいるのは宇宙の隅っこじゃねえ。ど真ん中だ」

主演の加藤ローサもいいが、高橋真唯がよかったなあ。
「ありがと、私のこと見つけてくれて」は泣かせるよ。
森下愛子はクドカン作品の弾けた役の印象が強いのだが、
洋服店を切り盛りする母親役を好演していた。

一見、楽そうにも見えるカーリングが、
鍛錬の必要なれっきとしたスポーツであることや、
ややこしそうなルールもちゃんと理解できる。
映画としても面白いし、トリノ五輪前に観ていれば、
もっと競技観戦が面白くなってただろうな。

それにしても、せっかくトリノでカーリングがブレイクしたというのに、
五輪後まもなく終映となる映画館が多かった。
そもそも大阪市中心部の映画館では公開されていなかった。
まあ、五輪前に上映スケジュールは決まっていたのでしょうが…。
DVDで、ぜひ多くの人に観て欲しいですね。
「ウォーターボーイズ」や「がんばっていきまっしょい」が好きな人なら、
楽しめること請け合いです。
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