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グレイ・ガーデンズのIのレビュー・感想・評価

グレイ・ガーデンズ(1975年製作の映画)
5.0
よくよく考えるとこれが何で映画になるんだろうと思うような内容なんだけど、なぜか映画になってるし、人を魅了する力がある。
住んでる家は壊滅的に汚いし、口を開けば嘘ばかりでどれが本当の話なのかもはや分からないし、母娘は永遠に互いに文句を言い合ってるし、でもなぜか憎めない。
当人たちは生活に全然満足してはないけど、自然と嫌なことをしていないから(だから悲惨な状況になってるんだけど)、ピアノを弾いたり、踊ったり、歌ったり、日向ぼっこをしたり、好きにお洒落をしたり、動物にエサをあげたり、そういう姿に憧れるし惹かれるのかも。一生懸命家族のために働く姿を美しいものとして描かれがちな世の中で、そういうコンテンツを大量に見せられる時に、この作品は孤高の輝きがあって、薄くぐもって濁った輝きかもしれないけど、勝手に女の自己犠牲を美しいよね、それが母性だよね、女子力だよね、と言われる日本で暮らしている自分からすると、そんな世の中に中指突き立ててくれてるように勝手に感じて、眩しくうつるのかもしれない。
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