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イッショウガイのkiritoのレビュー・感想・評価

イッショウガイ(2017年製作の映画)
3.8
【偏見と差別を無くす】

「元を取るんだ…」

実際に公演された舞台を映像として見せる舞台映画。

最初の5分くらい劇中の世界に入り込むのに確かに手こずるが、その後15分後くらいにくるクライマックスとも言える印象的なシーンに痺れる。

高校生の麻友の母が脳梗塞で倒れる。兄は仕事で忙しくなかなか介護ができない。麻友には隠してきた秘密があった…

綺麗事でいい、偽善でいい。

マイノリティー(本映画ではFTM)に生きる当事者の想いを綴った舞台。
認めてもらいたい。差別を無くしたい。その理想は時に綺麗事と叩かれる。
発信する大切さの一方で、1人ではなく家族、子供と構成や人数、自分の周りに関係者が増えるたびにたたかれる危険性も増していく。
あまりにも多くの障壁がある中で彼らはどう生き抜いていくべきか。

この映画はマイノリティー者のことを障がい者と(あえて)置き換えている。だからこのイッショウガイには「一生涯」と「一障害」の意味が含まれている。
どんなに時間がかかっても1人でも多くの理解者を増やす…最終的にはそこにしか希望はないのかもしれない。

※限定公開中(10日まで)

2020.5.9
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