海

海獣の子供の海のレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
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わたしの好きな要素が揃ってるんだから、当然好きだろうと思って観ていたのに、心は離れていくばかりだった。言葉は悪いけれど、傲慢だな、と感じずにはいられなかった。海や花の自然、陸でも海でも空でもそこに暮らす生き物たちが、人間とこんなふうに「つながっている」なんて考え方、わたしにはできない。わたしは海を愛していて、猫を愛していて、度々それらについて詩を書く。ひとが、ひと以外の何かに想像をめぐらせて書く詩の中に、ないのは「こたえ」だけだ。それ以外のすべてはある、そのひとの知識、記憶、色や広さや匂いの好み、耳をくすぐるちょうどいい音。だけど見つめている相手からの応答はそこにはない、幾重にもなって存在する命の輪のどこにも正解はない。幼かった頃いろんなことが不安だった、13の頃も、17の頃も。今も変わらない。わたしはいつも、いつも不安だ。猫を撫でる時これで合ってるか?虫を外に出す時、手足を傷つけてはいないか?あなたと何かをわかちあおうとするとき、わたしは、一方的になってはいないだろうか。本作はわたしにとって、とても一方的なものだった。「語らない映画」だと表現する人は多いけれど、わたしにはむしろ、語りすぎているように感じられた。わたしが見聞きしている海の音や生き物の表情は、ここにはなかった。
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